フリーランスは、労働法の1日8時間の法定労働時間や残業規制、最低賃金、年1回の健康診断などが適用されない世界。
しかも、収入の変動が激しい。
しかし「自分の好きな時に好きな形で働ける」と、若い世代には人気がある。
この本の著者は、小説を中心に、ゲームシナリオやコラムをたくさん書いている人。
税理士と弁護士が監修しているので安心して読み始めたが、これまであまり知られていなかった「文芸美術健康保険」や「平均課税」、「下請け法」などが登場する。
節税だけでなく社会保険、独占禁止法や下請法などの労働法の問題も網羅し、それぞれの問題をわかりやすく解説しているのが、これまでのフリーランスの税金関連本とは一味違う。
特に同業者組合の文芸美術健康保険と、国民健康保険とどちらが得なのかを比較一覧表にしたのが興味深かった。
文芸美術健康保険は、業界団体に加盟しないと入れない健康保険だが、収入に関わらず月額1万9600円。
収入によって変動する健康保険、世帯単位で金額の違う国民健康保険……表をながめてどれが得か考えこんだ。
クリエイターが文化美術健康保険に入るためには、クリエイターが所属する団体に入会費と年会費を払う。
その上で文化美術健康保険組合に1万9600円を月々払う。
保険料以外に所属団体への年会費が必要なので、文化美術健康保険は一概に「安い」ともいえないのだ。
ちなみに『FPジャーナル』10月号の事例研究では「フリーランスとして独立したい40代半ばの独身女性」が登場。
非常に面白いプランニングだった。
興味のある方は、日本FP協会会員のファイナンシャルプランナーに尋ねてみるとよいと思う。
時代によって働く方法、お金を得るスタイルは変わっていく。
お金の重さも年代によって違う。フリーランスは今後も増える働き方なので、国の保護が手厚くなるかもしれない。
頻繁にニュースをチェックしておこう。
『フリーランスが知らないと損するお金と法律のはなし』師走トオル著 ソーテック社
ラベル:税金