豊中市の小学校で行われている「とよなか地域こども教室」で、大好評の400色の色鉛筆を使ったミニ絵本作りワークショップですが、頭の痛い問題もあります。
「こんなん100均の色鉛筆と紙でやったって同じやん!」と言って、より安物の素材で、真似をするところが出てきたのです。
1本300円するドイツ製パステル鉛筆が、100均の色鉛筆と「同じ」わけないでしょう。
今の100円均一の文房具は質が上がってきてますが、国産の一般的な色鉛筆とくらべてどうなのか。
最近発売されて、ネットで「センスがいい」と評判になっている100均の色鉛筆を買ってみました。
20色入りで100円!
メイドイン・チャイナで1本あたり5円!
国産の色鉛筆の一番安いものの10分の1以下です。
軸の色は黒一色で統一され、メーカー名や色の名前の刻印はなし。
茶色の紙箱に20色の色名の紹介と、英語と日本語の「使用上の注意」が書かれています。
確かに、すっきりとしてデザインのセンスはいい。
ただ、このベニヤ板みたいな木の臭いがかなわんなあ。
鉛筆を削る時にいい匂いがするように、軸にインセンス・シダーを使ってる「三菱鉛筆ユニ」みたいにはいかないか。
比較のため、木軸の切断面が見やすい「トンボ鉛筆NQ」を用意しました。
100均鉛筆の直系は6mm。
トンボ色鉛筆の直系が8mmだから、100均色鉛筆ものすごく細い。
100均鉛筆の木軸の断面に亀裂が入っているのが気になりました。
使っているうちに木軸が折れるかもしれません。
こわいなあ。
実際に描いてみます。
とにかく感触が悪い。
キシキシするし、芯が硬いから描きにくい。
「硬質」芯の色鉛筆は珍しいけど、質が良いとは言い難い。
色鉛筆の芯には、グラフや製図などに用いる「硬質」、筆記や図画用の「中硬質」、陶磁器、金属、プラスチックなどに描ける「軟質」の3種類があります。
子ども向けのワークショップでは「中硬質」から「軟質」の色鉛筆を扱っていますが、ここに「硬質」の色鉛筆が加わると、表現できることが増えますが。
それにしても書き心地が悪い。
「100円なんだから、書き心地が悪いのは我慢しなさい!」とお叱りを受けても、書き心地が悪いのは辛い。
この中国産色鉛筆、JIS(日本工業規格)的にみてどうなんだろう。ということで調べてみました。
『日本鉛筆工業協同組合 鉛筆・色鉛筆のJISについて』によると、色鉛筆の仕様は、ものすごく細かく決まっています。
JISによると、日本産の鉛筆は、「鉛筆の硬度記号又は色鉛筆の種類」「製造業者名又はその略号」「色名」を軸に書くきまりがあります。
「いや、うちは中国で作ってるからJIS規格は関係ない。軸に色の種類や製造社名は入れない!」と押し切られると、反論の余地もないのですが、品質保持・安全性のために決められた規格なので。
ちなみに、同じ名前の色でも、メーカーによって作っている色鉛筆の色味が違います。
例えば、手に入りやすい日本の代表的な色鉛筆「三菱鉛筆ユニカラ―」と「トンボ鉛筆NQシリーズ」の「みどりいろ」を比べてみましょう。
文部科学省後援「色彩検定2級」で出てくるJIS規格の「慣用色」で表現すると……
「三菱鉛筆ユニカラ―」の「Green」は、マンセル値 2.5G 7.5/8 慣用色名「ミントグリーン(mint green・明るい緑)」に近い色。
「トンボ鉛筆NQ」の「みどり」は、マンセル値 4G 4.5/9 慣用色名「マラカイトグリーン(malachite green・こい緑)」に近い色。
というようにメーカーによって色が違います。
しかも、12色を超える色鉛筆セットになると、赤系統の色数が多いメーカー、緑系統の色が異様に充実したメーカー、青系統の中間色が多彩なメーカーと、メーカーごとに「力を入れている色」が違っているのも興味深い。
ワークショップで、各メーカーの青色だけ集めて絵本を描いた女の子がいたところをみると、子どもにも「よいもの」はわかるようです。
今年度から、色鉛筆は500色に増えるはずが……なぜか現時点で540色。
さらに増えそうな感じ。
まあ、数が多ければ多いほど子どもが喜びそうなので、じっくり集めていきますか。
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2019年04月12日
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