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2019年06月14日

『会計の世界史』

「会計?細かい数字のことはわからん」と思っている人も多いだろうが。
「会計」は簡単に言ってしまうと「お金の出入りを記録すること」で、家計簿から会社の財務諸表まで、全部が「会計」だ。
普通に「会計」と言った時は、「複式簿記の企業会計」のことで、外部利害者集団への報告を中心とする「財務会計」と,内部経営管理者への「管理会計」の2種類がある。

この本の著者は公認会計士事務所の所長で産業技術大学院大学の客員教授。

『「会計ギライ」の方を悩ませる、数字および複雑な会計用語は一切出てきません』と豪語しているだけあって、本当に複雑な会計用語は出てこない。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、メディチ家、レンブラント、ジェームズ・ワット、アンドリュー・カーネギー、ビートルズ、マイケル・ジャクソン……歴史上の有名人のお金にまつわる苦労話がたくさん出てくるので、歴史の本としても面白いし、本当に数字が出てこない。

ただし本文の下の注釈欄が……

登場する偉人の写真と略歴のほかに、「標準原価計算」「登記上の本社」など、簿記の専門用語が出てくる。
そこはやっぱり「会計の入門書」だ。

注釈に『為替手形を用いた取引では、入金・出金を行う人物・場所・時間が異なることになります』と書かれているのをみて、ギョッとする人もいるだろうが、その部分は読み飛ばしても大丈夫。
小説仕立ての歴史物語としても、うまく構成されているので、本文を読むだけで十分面白い。
なお、本文の途中でも会計用語の解説が出てくるが、そこは飛ばし読みしても大丈夫だ。

キャッチフレーズは『物語を読み進めると、簿記、財務会計、管理会計、ファイナンスについて、その仕組みが驚くほどよくわかります』だが、簿記の知識がゼロでは、ちょっとしんどいかもしれない。

しかし、この本のほとんどを占める歴史上の人物の知られざるエピソードは、雑談のネタとしては役に立つので、「簿記とか会計は苦手」と思っている人も、読んでおくとよいと思う。

『会計の世界史』 田中靖浩 著 日本経済新聞出版社
ラベル:ファイナンス
posted by ゆか at 23:57| Comment(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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