著者は出版プロデューサーで生活経済評論家。
『男の品格』などの品格本ブームの火付け役。
この本の表題は『作法』となっているが、作法やマナーのハウツー本ではない。
「昔の日本人は品格があったのに、豊かになった今は品格がない。昔の風習やしきたりを見直すべきだ」という趣旨のエッセイ集だ。
だが、すべての日本人が、昔から「気品を尊ぶサムライ」であったかというと、そうでもない時期もあったらしい。
私は子供の頃、祖母のハンナ・オコンネルから、戦時中や終戦直後の生々しい体験談を、たくさん聞かされた。
「人は、我が身がかわいい弱い生き物やねん」と、溜息をつく明治生まれの祖母。
当時、小学生だった私には、その言葉の意味がわからなかったが。……
ところで、この本の著者は1935年生まれ。
著者の指す「昔」とは昭和30年代後半から、バブル直前の昭和50年代頃の「衣食足りて礼節を知る」時代。
人々が未来に不安を感じていなかった頃。
豊かになったから、品格がなくなったのではなく、未来が不安だから、品格がないのではないだろうか。
……バブル崩壊後の経済的混乱。
今は物が豊かだが、将来は貧しいかもしれない。
耳に入るのは悲観的な情報ばかり。
そんな中でも「健康で長寿、生涯現役」でなければならない。
自分の健康とお金だけが頼り……
そうなれば、他人にかまってはいられない。
私は、自分なりに品位を持ちたい。
なるべく他人を不快にさせたくないことと、自分の尺度(品位)がしっかりしていれば、不安にならなくてすむと考えているからだ。
そして、人々の不安がなくなり、世間に「品格」が復活する時代、それを心待ちにしている。
『日本人の作法』 川北義則 著 徳間書店
ラベル:品格
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