労働組合の京都総評(京都地方労働組合総評議会)が組合員や家族に生活実態をアンケートして「普通の暮らし」の費用を算出した、「最低生計費試算調査(生活実態調査)」。その結果が波紋を呼んでいます。
夫婦と子ども2人、家族4人暮らし。
30代世帯(夫は正社員、妻は扶養家族、公立の小学校3、4年生と、3歳〜5歳の私立幼稚園児の4人家族)が月48万6900円。
40代世帯(夫は正社員、妻はパートで扶養家族、公立の男子中学生と、公立の小学生女子の4人家族)は54万9800円。
50代世帯(夫は正社員、妻はパートで扶養家族、京都市内の私立大学に通う男子学生と公立の女子高校生の4人家族)だと70万7500円が必要……
「そんなに稼がんとあかんのかぁ……」とため息をついている方も多いと思いますが。
これは税、社会保障費込みの「総月収」の価格だから、手取り金額から逆算すると、それほど非現実的な数字じゃないですね。
ただ、税率も社会保険料率も増えていくので、数年後はそれ以上の収入が必要になるでしょう。
京都総評の調査は、最低賃金の引き上げの根拠となる重要なものですが、アンケート結果で見える「普通の暮らし」は……
・子育て世代に人気の伏見区、43〜50uの賃貸マンションで家賃が6万1000〜6万7000円。
・夫の飲み会は月1回で4000円
・乗用車の維持費に3万7000円
・日帰りのレジャーを月1回、4人で5000円
・教育費は30代が2万8000円、40代は3万9000円、50代は13万円。
……意外に質素ですね。住宅費が「家賃」で「住宅ローン」や「固定資産税」の話が出てこないし、「食費」「水道光熱費」「被服費」「生命保険料」や、奨学金などの「教育ローン」が書かれていないのが気になりますが。
ちなみに、これは「京都市伏見区」の住宅費で、大阪や東京では、もっと家賃が高いかもしれません。
毎日新聞の記事に載っていない数字で、ファイナンシャルプランナーとしては、知りたいところが山ほどありますが、一番気になるのは「この状況で老後資金の準備ができるのか?」でした。
書かれているのが「最低生計費」で、貯金については何も書かれていないからです。
そこで『京都総評』サイトから『京都生活実態調査(最低生計費試算調査)結果―子育て世帯(30代・40代・50代夫婦+未婚子2人)―』から、2018年度調査の全資料をダウンロードしてみました。
「最低賃金値上げの根拠」とされている資料なので、実に細かい。
食費に関しては必要な栄養素や消費カロリーの解説があり、「電気冷蔵庫」「どんぶり」「トレーナー」「雨がっぱ」など、使ったもの全部の品目と月に消費した金額が書かれています。
これが「普通の暮らし」か……感心しながら読んでいると、資料の最後のページには、家計簿で使う各費目が載った消費支出の合計表がありました。
この家計費の配分なら、ファイナンシャルプランナーに持ち込まれがちな相談、「家計のムダを省いて、浮いたお金をマイホームの頭金や老後資金にあてたい」についても、多少解決方法を提案できそうな感じ。
「京都の子育て世帯」という限定条件があるものの、自分の家計のバランスが気になる人にはおすすめできる資料です。
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