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2007年07月10日

疑った者勝ち?

6月の給与明細や、税務署からの通知をご覧になった皆様。
悲鳴を上げませんでしたか? 
あまりの住民税の高さに。

今頃になってやってきた小泉改革の「国民への痛み」。
「三位一体の改革」(国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直し)。
そのうちの「税源委譲」(国税を減らして地方税を増やす)の住民税徴収が、平成19年6月からはじまったのです。

『総務省』サイトによると、これまでの住民税所得割の税率は、3段階の超過累進構造。
200万円までの課税所得は税率5%。
200〜700万円までの課税所得は税率10%。
700万円超の課税所得は税率13%だったのです。

これが所得に関わらず一律10%に。
「これによって高額所得者の多い地域に税収が集中することなく税源移譲が可能となります」……ほんまかいな。

その上、19年度から所得税、住民税の定率減税も廃止。
「税源移譲の前後で「住民税+所得税」の納税者の負担は変わりません」と総務省は言うけれど、どう考えても、税金が上がったとしか思えない。

私も、税務署の通知を見て悲鳴を上げました。
私の場合、職場の源泉徴収票、プラスアルファで確定申告するわけですが、それにしても高い。
母に相談すると、「でも、こんな金額かもしれへん」と諦め顔。

とりあえず、支払ってはみたものの、なんだか納得がいかず、高校の同窓会(詳細は『緑友会』)で、後輩に、「住民税高すぎじゃない」と文句を言ってみました。
彼は市の市民税課勤務。(『確定申告だぜよ』で活躍)

「収入と税額いくらですか?」

私が収入と住民税の金額を言ったとたん、「そりゃ、おかしいですね。均等割はともかく、所得割の控除枠全部使ってはりますか?」と言われました。

住民税は「均等割」「所得割」の2種類からできています。
均等割は、全住民から同じ金額を徴収する住民税(非課税要件あり)。
一方、所得割は、所得金額や家族状況に応じて負担する住民税(非課税要件あり)。

所得割の計算方法ですが、まず、課税所得金額の算出。

収入−収入から差し引かれる金額(必要経費、給与所得者控除、年金所得控除、支払いを受けた一時金に対し、支払った保険料や掛け金など)−「控除」が、課税される所得金額。

これに税率をかけたものに、所得割控除と調整控除が差し引かれたものが所得割住民税になります。
所得割から控除されるものは、配当控除、外国税額控除など。

ここで、問題になるのは「控除」……

医療費控除、雑損控除。社会保険料控除。
小規模企業共済等掛金控除。
生命保険料控除、損害保険料控除、寄付金控除。
扶養控除、障害者控除、寡婦(夫)控除、勤労学生控除。
配偶者控除、平成17年度から一部廃止になった配偶者特別控除。基礎控除……

結構たくさんあり、適用できるか微妙なケースになるものも含まれています。
しかも、控除は自己申告で、知識の有無が明暗を分けるもの。

「そんなら、ちょっと、先輩の納付額見てみますわ。来週中にでも、結果を電話します」と、後輩は住民税の再計算を快く引き受けてくれました。

ついでだから、母の分も再計算をお願いしました。
不動産がらみの青色申告なので、詳しいことはわからないけれど、母の収入と納税額を聞いた時、直感的に「おかしい」と感じたので。

かつて、私は計算間違いの24万円の追徴金をめぐって、税務署と大げんかしたことがあります。(詳細は『VS 税務署』)。
納得いかない税金は払いたくない。

3日後、後輩から電話。

「やっぱり、控除枠使える余地残ってましたよ。修正申告手続きしたら、差額分はお返しできますわ。明日の午前中、僕が税務相談窓口にいますから、出てきてください」

母も、控除分を新たに追加して修正申告すると、支払い済みの住民税から還付が受けられるとのこと。
ものは言ってみるものですね。

翌日、市役所に出向きました。
応対したのは後輩ではなく、年配の別の職員でした。

丁寧に修正申告手続きの説明をした後、「昭和59年卒の島村さんですね。彼から話は聞いています。私は渋谷高校の昭和41年卒です。がんばってくださいね」と、笑顔を見せました。

……こんなところで、高校の先輩に出会うとは。

修正申告が終わって、別の窓口に案内されると、還付金が少額だったこともあるせいか、いきなり現金で返してくれたのには、ちょっと驚きましたが。

ところで、この数年、ほとんど毎年、控除の仕組みが微妙に変わるので、個人では対応しきれなくなりつつあります。

例えば、『国税庁』サイトによると、平成19年度の個人税の改正部分だけでも、減価償却制度、住宅借入金特別控除、バリアフリー工事など特定の増改築等に関わる住宅借入金等特別控除、寄付金控除、信託法の改正に伴う所要の整備、e―tax(電子納税申告)に関わる所得税額の特別控除などが変更。

どの控除が、具体的にどう適用できるのかは、素人で判断するのは難しい。

私の住む市の市民税課税務相談窓口では、控除できる部分を探して、納税者にアドバイスするサービスを行なっています。

「税務署の確定申告終わってから、住民税算定が始まるわけですけど。最近の税務署の計算、時々おかしいから、修正せんならんことがあるんですわ」と後輩は嘆いていました。

「国民からなんぼでも税金とったる」の税務署と違って、市民税課としては、「徴収するべき適正額を徴収したい」とのことで、税務相談窓口で気軽に相談に応じてくれます。

ちなみに、今年から団塊世代の退職が始まり、確定申告会場は、年配者の怒号で大混乱でした。
平成19年1月1日から退職所得に対する住民税額の計算方法が変わったので、特に団塊世代の方、気をつけてください。

もし、住民税の額に疑問を感じたら、ためらわずに、お住まいの市町村にお問い合わせください。
支払った後でも、1年以内なら修正申告が可能です。
たとえ還付金がなくても、納得がいくでしょうし、翌年の住民税を減らすヒントがもらえるかもしれませんよ。
ラベル:住民税
posted by ゆか at 15:26| Comment(0) | TrackBack(1) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
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