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2020年11月13日

手帳の奇跡(手帳の紛失と発見)

……ない!
駐輪場でバッグを自転車の籠から取り出した私は、一瞬、頭の中が真っ白になりました。
手帳がない!

足元の地面がなくなってしまったような恐怖。
今月の予定がわからない!

それは、夫の入院する病院に、洗濯物を届けに行った時のことでした。
駅から病院までの距離が離れていて、レンタルサイクルで駅と病院を往復。
前籠と後ろ籠に荷物を積んでいて、手帳は後ろ籠のバッグの方に入っていました。
走っているうちに、タイヤがバウンドして、気づかぬうちに手帳がバッグから飛び出してしまったようです。
しかも、お気に入りの小倉織のストライプのエコバッグも一緒になくなってしまってる。

…どうしよう。

すぐに元来た道をそのまま自転車で走りながら、手帳とエコバッグを探しましたが…見つからず。
病院の窓口で尋ねても届けられていない。エコバッグは買えなくもないけれども、問題は手帳の方です。
夫に「手帳をなくした」とメッセージを送ると「警察に届けたのか」と心配してくれました。
とりあえず、駅前の交番に届け出たものの…

「手帳の特徴は?」
「黒い革のシステム手帳で、メーカーはアシュフォード。材質はカーフでステッチは紫です」
「どんな柄ですか?」
「無地です。柄はありません」
「名前は書いてありますか?」
「すみません。落とすとは思っていなかったので。いつもなら、自分の名刺を入れているんですが、あいにく名刺をきらしてました」
「困りましたねえ。名前はない。これといった特徴がないとは…付属物は、どんなものがありますか?」
「コクヨの水色の鉛筆シャープ、蛍光色の付箋、真鍮のしおりです」
「うーん。付属物も、それほど特徴がないですね。これは届けられにくいですよ」

大阪府警の「落とし物公開情報」サイトを時々チェックするように勧められて、凹みながら帰宅。
…エコバッグをなくしたのも惜しかったなあ。小倉織で高かったのに。

小倉織は、時代小説や明治文学に登場する「袴」の生地として有名な九州の伝統工芸品。
その歴史は古く、「徳川家康の鷹狩用の袷羽織に使われた」という資料が残っているほど。
私が持っていたのは「縞縞」ブランドの「藍輪舞」という柄。
紺と黒、白の美しいグラデーションのストライプで、剣道着の藍、柔道着の白、合気道袴の黒を連想させる、凛とした配色。軽くて薄手の生地で折りたたみやすくて、合わせる服を選ばないところが便利だったのになあ。惜しいことをした。
家に帰って、手帳に何を書いていたか、思い出してみました。

・仕事の締め切りなどは家の手帳(ミドリ:フラットダイアリー)で管理。連絡先はスマホ、パスワードはGoogleが記憶。
・システム手帳はアポイント用で、中止になったイベントは消しゴムで消していた。
・予定を記入するときは、自分にしかわからない記号を使っていた。
・領収書が残ってるから、イベントがあった日と経費は拾える。
・ライフログは、字数が多すぎて手帳に書ききれなくなり、頻繁にリフィルをはずして、パソコンに打ち込んでいた。

…個人情報が書かれていないので、手帳を拾った人間が、中身の情報を悪用する可能性はゼロ。
他人に迷惑をかけなくてすんだのが救いです。

システム手帳派で、情報のバックアップができる状態だったのは運がよかった。
もし、ほぼ日手帳やジブン手帳のように、なんでもかんでも書き込めるタイプの綴じ手帳のユーザーだったら、紛失したときのダメージは、もっと深刻なものでしょう。
「落とし物公開情報」サイトには、意外と手帳の拾得物が多いのです。
警察に届けられる落とし物よりも、放置される落とし物の方が、はるかに数が多いので、手帳ユーザーは「手帳を落とした時のための情報のバックアップ」を、頭の片隅に置いておいた方がいいかもしれません。

幸い、5日後、病院に行った帰り道で、エコバッグが見つかりました。
バッグの中にはなぜか手帳が入っていました。
落としたときには、エコバッグは折りたたんだ状態だったはず。
つまり、手帳とバッグは別々に落としたはずなので、手帳がバッグに入った状態で発見されることは、ありえない。

それに、落とした当日、いくら探しても見つからなかったのに、5日後に歩道の街路樹の根元に置かれているのも不自然。
というのは、その日は自転車で車道を走っていたからです。歩道に手帳を落としているはずはないんですよ。

手帳を拾った前日は雨でしたが、手帳は少し湿っているだけで中身は無事でした。
夫に手帳とバッグが見つかったことをメッセージで知らせたら、「よかったな。今度から気をつけろ」と返事がきました。
おそらく、誰かが落ちている手帳とバッグに気がついて、落とし主が探しに来ても、わかりやすいようにバッグの中に手帳を入れて、歩道においてくれていたのでしょう。

5日間、スーパーの前の人通りの多い歩道に、バッグと手帳が、そのままあったこと。
それが、無事に持ち主の手に戻ったことは、確率的には奇跡に近いです。
どなたか知りませんが、本当にありがとうございました。

(この記事は2020年11月13日時点の情報をもとに書かれています。)
posted by ゆか at 23:52| Comment(0) | 文具コラム | 更新情報をチェックする
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