合理的といえばそうなんですが。
私は形から入る主義で、よいものを長く使いたい。
それに、ちょっと奮発してよいものを買っておくと、買ったものに合わせるように努力するので。
初めて道着を買う時に、「道着を岩田商会で? 早すぎるんじゃないか」とも言われたことがありますが、高い道着は通気性がよくて、夏の暑い時の稽古でも快適でした。
ちなみに岩田商会は、合気道専用道着と袴を開発したメーカーです。
合気道の場合、袴の素材は、通気性がよいけれども縮んでシワになりやすい綿か、通気性は悪いけれども、シワと袴の折り目が取れにくいテトロンかの二択でしたが、他の武道はそうでもないんですね。
『京都・東山堂 剣道防具工房「源」』……武道具業界大手、東山堂グループの剣道防具専門店です。
剣道は道着袴の他に、竹刀や防具など、必要な武道具の種類が多く、この通販サイトが扱う武道用品の数は600種類以上。
もちろん袴も多種多様。
道着袴の選び方のわからない人に「道着袴の選び方」コーナーまである。
それによると……
子どもから小学生には動きやすいジャージ素材の道着とテトロンの袴。
中学生から大学生には、頻繁に稽古することを考えて、綿の道着とテトロンの袴。
大人には、審査時の着装を考慮して、藍染の綿でできた道着と袴。
……稽古する年齢によって、おすすめの道着と袴の素材が違うのか。
ちょっと驚きました。
剣道の審査は道着袴の着付け方が悪いと減点になるので、普段の稽古の時は動きやすい素材で、審査の時はきちんと綿の道着袴で臨む。
使い分けが厳格なんですね。
私が気になったのは、夏の稽古のこと。
日本の夏は年々暑くなっているので、昔よりも熱中症対策が重要になってきました。
剣道の道着袴は、この点でも進化しています。
「夏向きの道着袴」として、「刺子で肌との密着面を減らした超薄手の綿道着と綿袴」や、「刺子で肌触りをよくした速乾性のジャージ素材の道着」など、合気道の道着袴にはない生地がありましたが、きわめつけが「セオ・アルファエステル袴」。
植物の毛細血管現象にヒントを得て開発された、吸汗速乾の合成繊維「セオ・アルファ糸」を使っているハイテクノロジーの袴。
すごいことになってるなあ。
剣道は競技人口が多いし、道着袴の上から面や胴などの防具をつけるので、どうしても夏場は暑い稽古になる。
そのため、他の武道よりも素材が進化したのかもしれません。
綿の道着袴は通気性がいいんですが、これからの夏の稽古で限界が出てくるかもしれない。
他の武道でも「暑い時に着るための新しい素材の道着袴」が普及すればいいんですが。
ところで、4月25日から5月11日までの予定で、東京都・大阪府・京都府・兵庫県に対して「緊急事態宣言」が発令され、不要不急の外出自粛や飲食店の時短営業など、さまざまな規制が行われます。
また武道の稽古ができなくなりました。
もし、武道の稽古をしたいと思われている団体の方は、武道系コラム『距離感(前編)剣の間合い』で、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、安全に武道の稽古ができる工夫について書いていますので、ご参考にしていただければありがたいです。
(この記事は2021年4月23日時点の情報をもとに書かれています)
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