「給与のデジタル払い」……これが実現してしまう流れになってきたからです。
「実現してしまう」というのは、ちょっと不穏な表現なんですが……
厚生労働省の『2021年4月19日 第168回労働政策審議会労働条件分科会 議事録』。
議題は『資金移動業者の口座への賃金支払について』『フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインの策定について(報告事項)』。
……ともかく、これがまた読みにくい文章で。
口述筆記をそのまま載せている状態だから、途中で「誰か要約してくれえ!」と悲鳴をあげそうになりました。
それでもがんばって、ざっくりまとめると、現時点では「「給与のデジタル払い」を2022年度あたりに導入したいが、具体的なことは全然決まっていない」という状態ですね。
こういう「期限だけが先に決まっていて、具体的なことは後から決める」というパターンは、ろくでもないことが起こりやすい。
……こわいなあ。
そもそも「給与のデジタル払い」ってなんでしょうね。
「現金で給料もらってるわけじゃないし、ネットで給与明細と口座入金を確認してるし。今更デジタル払いと言われても」と考える方も多いと思いますが……
労働基準法では「給与は現金」と明言されていて、例外的に労働者の希望があれば、銀行口座や証券口座に振り込みできる。
給与を受け取るのに、「現金払い」と「銀行振込」があって、さらに「資金移動業者による給与のデジタル払い(電子マネー)」が加わるわけです。
わかりやすく表現すると、給与が「LINE PAY」や「Yahoo!ウォレット」のアカウントにチャージされるようなイメージですね。
「それって、大丈夫なんか?」と一瞬疑問を感じた方も多いでしょう。私もそう思いました。
1.資金移動事業者が破綻した時、即、給与が出なくなって生活できなくなるのでは?
2.アカウントが乗っ取られた時、損害を賠償できるのか?
3.ATMから現金を引き出すように、アカウントから回数無制限で現金を引き出せるのか?
4.振込エラーがあった時、どう対処するのか?
5.個人情報が漏洩した時、どうなるのか。
これらについては、分科会でも質問が出ているので、専門家も不安を持っているようです。
銀行の場合は、トラブルがあった場合は預金保険機構がフォローしますが、「〇〇PAY」などの資金移動業者によっては、「トラブルには責任を取らない」と明言しているところもあるから、給与を丸ごと預けるには抵抗がありますよね。
そこまでして政府が「給与のデジタル払い」を導入するメリットは……
1.銀行より手数料が安い
2.PAY払いをしている若者にはなじみやすい
3.振込作業が効率的になる
4.銀行口座を持たない外国人就労者への支払いが便利
ほんとに大丈夫なんでしょうかね。
特に、電子マネーを扱うところは、過去に何度もハッキングの被害にあってますから。
「ペイロールカード」と呼ばれる給与専用のプリペイドカードが導入されるようですが、銀行並みのしっかりした管理体制ができないと、難しいでしょう。
私は給与とか報酬を、公共料金を引き落としている「銀行口座」への入金を希望しますが、若い方は「〇〇PAY」を選択するかもしれません。
ちなみに「2022年」は、国のさまざまな制度が激変する年になるので、さまざまな情報を集めて、慎重に行動したいですね。
(この記事は2021年7月16日時点の情報をもとに書かれています)
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