「主人公が商人で「日本資本主義の父」だから」というわけではなく、去年の大河ドラマの『麒麟がくる』でも、やたらに信長が「戦と金」の話をしていたから、武士もお金のことを気にしていたらしい。
この本のテーマは「歴史上の事件にいくらかかったか?」。
ファイナンシャルプランナーとしても、気になるところで、日露戦争や日清戦争で、巨額の賠償金が問題になったのは歴史の教科書で知っているけれども、「関ヶ原の戦いの総経費は?」と聞かれたら見当もつかないのだ。
この本の著者は「日本史財政学研究所」。
歴史に詳しいライターや編集者の集団で、書かれている金額は、いずれも現在ある資料をもとに現在の貨幣価値で表現したもの。
例えば「関ヶ原の戦い」。
兵糧米を使っての換算になるが、「半日で終わった」とされる「関ヶ原の戦い」で、徳川家康率いる東軍が約18億8325万円相当、石田三成率いる西軍が約21億4338万7500円相当を使っている。
高いのか安いのかよくわからないが、この値段は、近いうちに変わるかもしれない。
2020年12月19日にNHK BSプレミアム放映された『決戦!関ヶ原 〜空からスクープ 幻の巨大山城〜』によると、関ヶ原の西側の山から「玉城」と呼ばれる巨大な山城跡が発見されている。
今後、山城の調査が進むと「関ヶ原の戦いの経費」は、全然違うものになってしまうかもしれないが、それでも、この本はイラストや図解が満載で非常に面白い。
「安土城の総工費は約1000億円で大阪城は約800億円。江戸城は350億円で、姫路城の600億円より安い」「信長と秀吉と家康では、信長が一番金持ちだった」など「歴史上の出来事とお金の関係」は、知っておくと歴史ドラマの楽しみ方が変わる。
「戦」がテーマなので戦国時代に大半のページがさかれているが、戦国時代だけで十分1冊本を作れるんじゃないかとも思った。
『戦(いくさ)のねだん 日本の戦を「お金」で読み解く!』 日本史財政学研究所 著 コスミック出版
(この記事は2021年8月19日現在の情報をもとに書かれています)
ラベル:お金
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