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2021年11月26日

異変(後編)忍び寄る影

「そういうたら、お前のお母さん、よく「手が痛い」いうてへんかったか?」夫の言葉に、ギョッとしました。
そういえば、亡くなった母が、よく指の痛みを訴えていました。

「長い間手を使っていたら、指が傷んで変形してくるねん」

母は手を差し出して見せてくれました。
親指をのぞいた4本の指が、手の中心から外側に沿っている。

「あんたも気をつけんとあかんよ」

家事や園芸、手芸と「手を使うことが好き」だった母は、手の痛みを感じても、好きな手芸や園芸がやめられなかった……切ないですね。

先日、あるSNSで、弓道の方が「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」にかかってしまって、弓が握れないという嘆きを見ました。
弓道は弓を持つ手にも弦を引く手にも大きな力がかかります。

……これは辛いなあ。

「腱鞘炎」は有名な病気で、「出産・更年期前後の女性」「パソコンをする人」「スポーツをする人」でかかることが多いとされていますが、決定的な原因はいまだにわかっていません。

長い間の指や手の使い過ぎで、「腱(けん)」に異常が起こり、疲労骨折みたいな形で、突然症状が現れる。
……「手の病気」は、かなり怖いですね。

『一般社団法人日本手外科学会』サイトに「代表的な手外科疾患(手外科シリーズ)」という「指や手の病気の索引」みたいなものがあります。
有名な「野球肘」や「テニス肘」。
「デュピュイトラン拘縮」や「ガングリオン」のような耳慣れない病気など、主要な35種類の指や手の病気がイラスト入りでわかりやすく紹介されています。

これは「症例」「原因」「病態」「診断」「治療が」イラストが豊富で、簡単な症状の見分け方が載っているので便利。

例えば「ドケルバン病」の見分け方は、手を前に突き出し、親指を内側に入れて握りこぶしを作る。
手首を小指側(下側)に曲げる時、痛みが出るかで判定します。

やってみたけど、痛くなかったので、とりあえず「ドケルバン病」の疑いはなくなりました。

これまで武道の世界では「痛み=気合いが足りない」という考え方が根強かったんですが、無理をして若い頃と同じペースの稽古を続けたため、「痛みを抱える武人」が増えつつあります。
「人生100年時代」と言われている現在、楽しく長く武道を続けていくためには、整体や柔道整復師、スポーツ医学などの知識を持つ指導者が必要になるのではないでしょうか。

ちなみに、私の手の痛みは、意識的に体を休めるようにしてから、マシになりました。
「さっさと医者に行って治せ」と、夫にうるさく言われて、整形外科で検査を続けています。
「手首や指が痛い」という症状は、手外科の世界では数が多く、一つ一つの可能性をつぶしていくという、結構時間がかかるプロセスになるようですね。

もし指や手首が慢性的に痛む場合は、早めに病院に行くことをおすすめします。
「痛み止めの処方」「抗炎症剤の注射」「テーピングで固定」「外科手術」など、さまざまな対処法があります。
「稽古ができない」ことよりも「健康」の方が大切ですから。
ラベル:武道
posted by ゆか at 23:55| Comment(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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