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2022年02月18日

令和4年の日本古武道演武大会(中編)拍手

史上初の「無観客・オンラインライブ配信」となった令和4年の「日本古武道演武大会」。新型コロナウィルス感染防止の対策をしながら、慎重に演武が進んでいました。

徳川紀州藩の武芸・田宮流居合術(たみやりゅういあいじゅつ)。

「なんや静かやなあ」

夫が呟きました。
刀が空を切る音とカメラのシャッター音だけが聞こえてくる静かな演武。

薩摩の剣術・示現流兵法剣術(じげんりゅうひょうほうけんじゅつ)。

「時代劇の示現流とはだいぶ違うなあ」
「まあ、時代劇は、結構創作が入ってるからね」

「きえーいっ!」という独特な声を出しながら「ユス」という木の枝で打ち合う稽古と、無声で木刀を激しく打ち合う稽古。
メリハリのある演武の組み立てでした。

ここで演武は中断して、清掃タイム。
ブルーのユニホームのスタッフが一列に並んで、長いモップで演武会場を掃除します。
ムダのない動きで迅速に清掃を終えて、演武再開。

続いて、関口新心流柔術(せきぐちしんしんりゅうじゅうじゅつ)。
今回はカメラで撮られることを意識しているのかもしれないけれども、関節技を見せやすくして披露。
合気道とは違う系統の関節技に、夫も無言で見入っていました。

発祥は平安時代末期と伝えられる竹生島流棒術(ちくぶじまりゅうぼうじゅつ)。
「エーイ」という長い気合いを出しながら、木刀と棒の激しい打ち合い。

「払い突きか」
「払い突き?」
「よう見てみ、棒の先をうまく使ってるわ」
「確かに」

合気道の武器「杖(じょう)」とは違う使い方ですが、相手の太刀を払う、突く、など多彩な動きをしています。

宮本武蔵が使った兵法二天一流剣術(へいほうにてんいちりゅうけんじゅつ)。
太刀と小太刀、二つの刀を同時に使う剣術で、「ズィー」「タン」「ヘッタイ」という独特の気合いが特徴。
今回の演武でも、いつも通りの「ズィー」「タン」「ヘッタイ」の気合いが聞けました。

……どうやら「コロナ禍であっても、うちは普段通りの演武を見せる」という流派と、「コロナ禍の制約を生かして、うちは普段とは違う演武を見せる」という流派に分かれたようです。

「ところで空手は出てこんのか」
「今回、沖縄剛柔流武術(おきなわごうじゅうりゅうぶじゅつ)と、琉球王家秘伝本部御殿手(りゅうきゅうおうけひでんもとぶうんでー)と、琉球古武術(りゅうきゅうこぶじゅつ)が欠場してるからね。空手系と武器技系が足らないのはしょうがないよ」

コロナの影響で、出場35流派中10流派が欠場するという異例の事態。
こんな影響もあったのでした。

根岸流手裏剣術(ねぎしりゅうしゅりけんじゅつ)
演武場に畳が垂直に立てられ、そこに的が取りつけられました。
棒手裏剣を打つ直前の手元の様子や、手裏剣が的に当たる瞬間も見ることができて、とてもありがたいです。

ここで「日本古武道演武大会」第一部が終了。
またしても清掃タイム。

「またか。ここまでして、演武大会せんとあかんかったんか?」
「去年に続いて今年も中止にしたら、スポーツ庁が、来年の日本古武道演武大会の予算、減らすかもしれんからねえ。この動画の視聴数が、どのぐらいあるのかも鍵かもしれんね」

清掃の後、演武大会は第二部に入ります。
戦国時代から連綿と続く総合武術・気樂流柔術(きらくりゅうじゅうじゅつ)。
マスクをしたまま、気合いを出さずに、激しい棒と木刀とを打ち合い、くるくると水車のように棒を回す演武を披露。すごい。

演武が終わると拍手が聞こえてきました。
よく考えてみると、感染防止のために大声を出してはいけないけれども、拍手だったら、何の問題もありませんね。
無観客開催なのに、誰が拍手をしているのか?
……カメラは演武者だけを映しているので、拍手の主が誰かは正確にはわからない。

来賓?それとも演武者?

実は、観覧席に道着袴姿の演武者が座っている光景が、何度か写っていました。
演武者は観客じゃないから、「無観客開催」で間違いはないんですが。

演武は変わって、時代劇でおなじみの柳生新陰流兵法剣術(やぎゅうしんかげりゅうへいほうけんじゅつ)。
赤い袋竹刀を上下にふりながら、間合いをはかって打ち合う稽古。
床を「ドンッ!」と音を立てて蹴り、タイミングを合わせて木刀を打ち合う演武。
すべて気合いなしでしたが、こういう間合いの合わせ方もあるんですね。

さらに、幕末の剣・北辰一刀流剣術(ほくしんいっとうりゅうけんじゅつ)。
この流派は「鬼籠手」という巨大なグローブのような防具を使うのが特徴。
すばやく間合いをつめて「鬼籠手」めがけて、正確に木刀を打ち込む姿は美しい。

続いて、柳生心眼流甲冑兵法(やぎゅうしんがんりゅうかっちゅうへいほう)。
戦国時代さながらに、甲冑に身を包んだ武者が3人登場。
太刀や小刀だけではなく、馬の手入れ道具や陣笠など、さまざまなものを使って敵を倒していきます。
一瞬で相手の懐に入る大胆な動きを、夫は無言で見つめていました。

柳生心眼流甲冑兵法の演武が終わると、またしても清掃タイム。
「またか」と夫は、少しうんざりした顔で言いました。

10流派見たので今日はここまででストップ。

ここまでで2時間56分。
演武大会は4時間23分あるから、残り3分の1。
あと10流派ありますが、どんな演武になっているのか。
楽しみですね。

次回に続く……
posted by ゆか at 23:53| Comment(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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