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2023年02月17日

令和5年の日本古武道演武大会(中編)遠い間合い

日本武道館の演武場では、日本古武道協会に加盟する古武道の演武者たちの力のこもった演武が続いていました。




日本武道館の演武場では、日本古武道協会に加盟する古武道の演武者たちの力のこもった演武が続いていました。

釵(サイ)や鎌、短い間合いで使う棒術など、沖縄独特の武器を操る「琉球古武術(りゅうきゅうこぶじゅつ)」。
ムダのない、最小限の合理的な動きで相手を制する「澁川流柔術(しぶかわりゅうじゅうじゅつ)」。

各流派が演武に入る前に、流派の簡単な説明と見どころを説明してくれるのがありがたいですね。
これまでは「演武時間の都合上、流派の解説はなく略礼とします」だったんですが、プログラムを買わない限り、見ている方には何のことやらわからないだろうから、このワンポイントアドバイスは続けてほしいな。

続いて、身を低くして、じりじりと相手との間合いを詰めて一気に仕掛ける。
「静」と「動」のコントラストが鮮やかな「當田流剣術(とうだりゅうけんじゅつ)」

踵をやや浮かせて柔軟な動きで相手を制する、「鐘捲流抜刀術(かねまきりゅうばっとうじゅつ)」。
飛び跳ねる動きが多く、アグレッシブな「兵法タイ捨流(ひょうほうたいしゃりゅう)」。
投げ技・絞め技・関節技が柔道に採用されている「天神真楊流柔術(てんじんしんようりゅうじゅうじゅつ)」は、道場での普段の稽古風景を彷彿させる演武でした。

……それにしても、今年の演武大会は、どういうわけか写真が撮りにくいなあ。

薙刀を刀で打ち落されても動じずに、果敢に短刀で敵に立ち向かう「直心影流薙刀術(じきしんかげりゅうなぎなたじゅつ)」の演武。
一見地味に見えるけれども、よく見ると、ムダのない合理的な動きをしている「貫心流居合術(かんしんりゅういあいじゅつ)」。
迫力ある鎗術と二刀の剣術を披露する「荒木流軍用小具足(あらきりゅうぐんようこぐそく)」。

ここでお昼の休憩に入りました。

今回の昼食は、羽田空港の焼きたてパン屋さんで売っていた、ちょっとおしゃれなサンドイッチの詰め合わせ。
7時大阪発の飛行機で東京へきて、古武道演武大会を見て、18時の羽田発の飛行機で大阪に帰る。
「旅行」というより「通勤」に近い、ストイックな東京行きですが、少しずつ楽しみを見つけています。

約20分の休憩後、再び演武がはじまります。

不意に相手に攻撃されても、即座に対応できる「初實剣理方一流剣術(しょじつけんりかたいちりゅうけんじゅつ)」。
長い十文字鎌鎗を巧みに操る「宝蔵院流高田派槍術(ほうぞういんたかだはそうじゅつ)」。

「円心流居合据物斬剣法(えんしんりゅういあいすえものぎりけんぽう)」は、真剣で巻き藁や青竹を斬る演武。
巻き藁や青竹の欠片が演武場の床に飛び散りますが、武道館のスタッフが、すばやく片づけます。
演武者と運営スタッフが、阿吽の呼吸で動いているから、日本古武道演武大会を円滑に運営できるのですよ。

それにしても、例年と同じように、演武者の動きを追って写真を撮っていたのですが、なぜかいい写真が撮れない。
不思議に思っていたのですが、ようやく理由がわかりました。
ずっと演武者の背中ばかり見えてたから。

武道館は、武道場の周りを、客席がぐるりと囲む席の配置になっています。
コロナ禍前の演武大会では、客席にいる観覧者全員が見られるように、演武の角度が考えられていましたが、今は違う。
演武の一番よく見える角度は、来賓席手前に陣取る報道関係者の前。
演武は、報道関係者に向けて行われているのです。

確かに、演武の動画が編集されて日本武道館公式YouTubeに載ったり、NHKの「明鏡止水」の資料画像に使われたりするところまで考えたら、報道陣を意識して演武せざるを得ないですね。

気を取り直して、「神道無念流剣術(しんどうむねんりゅうけんじゅつ)」。
刀と刀を打ち合わせた部分に接着剤が貼られてるのかと思うほど、粘っこい剣術を見せます。

「金硬流唐手・沖縄古武術(きんがいりゅうからて・おきなわこぶじゅつ)」は、「空手」というより「カンフー」に近い動き。
竹内流柔術日下捕手開山(たけのうちりゅうじゅうじゅつひのしたとりてかいざん)は、400年前に発祥した最古の柔術「竹内流柔術腰廻小具足(たけのうちりゅうじゅうじゅつこしまわりこぐそく)」の流れを組む総合武道。堂々とした演武が魅力的。

正面からの打ち合いで、相打ちになりそうなところ、微妙に相手の攻撃をさばいて、相手を攻撃する「雲弘流剣術(うんこうりゅうけんじゅつ)」の繊細な体さばき。
今年は、コロナで欠席する流派がいなかったので、目まぐるしく演武者が変わります。
そこはいつも通りなんですね。
……続く……


posted by ゆか at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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