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2023年02月24日

令和5年の日本古武道演武大会(後編)続ける覚悟

日本武道館で開かれた「第46回日本古武道演武大会」。

「大東流合気柔術琢磨会(だいとうりゅうあいきじゅうじゅつたくまかい)」の演武。
植芝盛平先生が合気道を作られる前、大阪で指導していた大東流合気柔術。
その弟子だった久琢磨が創始した流派です。
東京の大東流合気柔術よりも、合気道に近い動きをしていますね。

「戸田派武甲流薙刀術(とだはぶこうりゅうなぎなたじゅつ)」は薙刀の刃の部分を巧みに使い、相手を制する演武。
相手の腕をつかんで、そのまま蹴りを入れる荒っぽい空手的な技を見せる「和道流柔術拳法(わどうりゅうじゅうじゅつけんぽう)」。

演武の間に「日本古武道演武大会プログラム」と、「鹿島神宮奉納日本古武道交流演武大会」の宣伝があります。
「プログラム」は出場各流派の由来や技の解説、写真が載っている豪華なものだけど、2月5日の演武限定だから、開催中に売らないといけないので大変。

演武は、一太刀で相手を制する美しい「切落し」が魅力の「小野派一刀流剣術(おのはいっとうりゅうけんじゅつ)」。
江戸時代初期の武士の荒々しさを今に伝える「為我流派勝新流柔術(いがりゅうはかつしんりゅうじゅうじゅつ)」。

ふと「続ける覚悟」という言葉が、頭に浮かびました。
危険な技も多く、後継者不足で大変な流派も多い古武道。
それでもあえて続けていく。
ある種の覚悟が感じられました。


続く演武は、老若男女問わず、体力に合わせて稽古できるという「神道夢想流杖術(しんどうむそうりゅうじょうじゅつ)」。宮本武蔵を破ったとされる秘技「水月(すいげつ)」を披露。
「裃を着た武士の護身術」を彷彿させる「長谷川流和術(はせがわりゅうやわらじゅつ)」

それにしても、どの流派の演武者の動きも、やや硬い気がする。
以前は、観覧席のどの方向の観客にも見えるように演武を組み立てた流派もいたし、演武場を所狭しと走り回っていた流派もいたのに……どうしても意識が報道陣の方に向いている。

NHKが放送する武術番組「明鏡止水」に、日本古武道演武大会の動画が資料に使われていたから、それを意識しているのかな?

不思議でしかたがなかったのですが、プログラムの巻末を見て、ようやくその理由がわかりました。
この第46回日本古武道演武大会は、「チャンネル700」で放映されることが決まってる。

「チャンネル700」はケーブルテレビ専用のエンターテイメントチャンネル。
全国のケーブルテレビで、3月に前編が、4月に後編が放送される予定。

……視聴数がYouTubeの動画配信の比じゃない。
確かに、緊張するかもしれないけど、もうちょっとリラックスして演武できればいいのに。

演武は続きます。

「甲源一刀流剣術(こうげんいっとうりゅうけんじゅつ)」。
初めて見る流派。
じりじりと間合いを詰め、一気に打ちかかる気迫のある動きが魅力的。

そして、日本武道発祥の地から「鹿島新當流剣術(かしましんとうりゅうけんじゅつ)」。
甲冑で守り切れない喉元、小手などを狙って相手を制するのが特徴。
「鹿島の武人」が堂々たる演武で締めました。

演武納めは「森重流砲術(もりしげりゅうほうじゅつ)」。
大きな音がするので音に敏感な人や子どもは耳をふさぐようアナウンスがあり、日本武道館のスタッフが、消火器を持って待機。
ものものしい雰囲気の中、一列に並んだ射手が、一斉に火縄銃で的を撃つさまは壮観でした。

これで今年の日本古武道演武大会も、無事に終了。

ちなみに、今年のアンケートは、紙に記入する方法から、スマホのカメラでQRコードを読み取り、Googleフォームのアンケートに答える方式に変わってました。
しかし、スマホでGoogleフォームに解答するのは結構めんどくさい作業。
アンケートの回収率が悪そうだな。

前回、日本古武道演武大会を見たのは2020年2月。
オリンピックに備えて日本武道館がリニューアル工事中で、東京武道館の開催。
夫が原因不明の病気で倒れる前のことでした。

あれから3年たってるから、さまざまなことが変わっているのは当然かもしれません。

日本古武道演武大会の方は……2021年が中止。
2022年は無観客演武でリアルタイム配信。
今年は入場者を半分にして開催。
変則的な開催が続いていて、主催者側でも、「時代に合わせた演武大会開催」を模索しているのでしょう。

いろいろと戸惑う点は多かったけれども、とりあえず、開催されてよかった。
来年は、どんな演武大会になるのか。楽しみにしていますよ。
posted by ゆか at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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