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2007年08月04日

『データの罠』

2007年7月29日の総選挙は「民主党の大躍進、自民党の歴史的惨敗」。
 
事前選挙予想が当たった……というよりも、有権者がマスコミの予想に従って投票した可能性が高い。

この本の著者は、新潟大学大学院実務法学研究科助教授。
長年行政と自治を研究してきた人。
世論調査、各種ランキングなどの「データの正しい読み方」を解説している。

「世論調査で「どちらかと言えば」などと曖昧な選択肢がある場合、世論操作が含まれている可能性が高い」。
「インターネット調査やテレゴングは特定層対象の調査であてにならない」。
「無作為抽出は一定の誤差が前提、視聴率0.1%に一喜一憂するのは愚行」。
「経済波及効果はマイナスの側面を含んでいないので、差し引いて考える必要がある」

……統計学の知識を交えながら、小気味よく「データの罠」を一刀両断していく。

『団塊格差』でも書いたが、私はインターネット調査の結果を、そのまま「真実」としていいのか、ずっと疑問に思っていた。
謎が解けて、ほっとした思いだ。

「調査回答率が、少なくとも50%以下の調査は信用してはいけない」
「平均値を理想化してはいけない」
などのデータ・リテラシー。

私たち大人にも必要だが、これから情報過剰社会に生きる子供たちの方が、「致命的な選択ミス」をしないために、より切実に必要になると思う。
「調べ学習」では、それをきちんと教えているのか心配だ。

政治や行政や企業は、自分たちの有利な方向に世論を誘導すべく、データを駆使することが多い。
そして、それを指摘するはずのマスコミも、データを鵜呑みした報道や、自らが都合のいいデータ操作をしてしまったりする。

『マスコミが頼りにならないのであれば、我々一人一人が賢明な判断を下さなければならない。世論操作はもうこりごりだ』

……著者の言葉が胸に響く。


『データの罠』 田村 秀 著 集英社新書
ラベル:世論調査
posted by ゆか at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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