義母のために用意した6畳の部屋には、段ボール箱が10箱積み上げられた。
義母に「片付けますか」と聞いたら、「自分でやる」と怖い顔でにらまれた。
義母は持ってきた段ボール箱の半分の5箱から、実家で使っていた食器や服、バッグなどを出してきたが、残りの5箱を開けずに部屋の片隅に積み上げていた。
残り5箱の段ボールは、まったく開かれる気配がない。
箱の中身は謎のままだった……
この本の発行は2015年。義母が亡くなった年だ。
本のテーマは「物が増えて収拾がつかなくなっている実家。片づけが難しくなっている両親を説得して断捨離。子どもや孫が立ち寄りやすい実家にする」なのだが。
10年近くたった2024年の現在では、両親が亡くなったり介護施設に入ったりして、空き家になった実家の処分。
「実家じまい」が社会問題になっている。
この本の著者はイラストレーター。
「実家の片付け」という「争族」にもつながりかねない重たいテーマを、かわいいイラストでユーモラスに描いている。
「実家のあるある」の「コタツにみかん」「消費期限切れの薬」「着ているのをみたことがない毛皮のコート」「30個以上もあるバッグ」など、思わず笑っていしまった。
我が家は義母が亡くなって家族が3人から2人になったけれども、暮らしに完全にサイズダウンするのに7年。
2度のリフォームが必要だったから、著者は実家の断捨離に相当苦労しただろうと思う。
その後、義母は脳出血で倒れ、そのまま病院で亡くなったが、段ボール箱に何が入っているのか?
義母の部屋の掃除はするが、段ボール箱は開けづらかった。
義母が亡くなって3年。
3周忌がすんだ後に恐る恐る段ボール箱を開けてみた。
……おびただしい数のアルバムと写真。
5箱の段ボール箱の中身は、すべて古い写真だった。
家や家財道具をすべて処分した義母が、最後まで手放さなかったのは家族の思い出。
何とも言えない気持ちになった。
2024年。義母が亡くなって9年。
そろそろ業者に頼んで、写真をデジタル化してもらわないといけないな。
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