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2024年05月24日

立つと歩く(前編) 帯と袴

またNHKで楽しみな番組が増えました。「明鏡止水 武の五輪」。
2021年から放送されている「明鏡止水 武のKAMIWAZA」の続編です。
2024年7月26日〜8月11日にかけて行われる「パリ2024オリンピック」にちなんで、「スポーツと武術」がテーマ。

2024年5月22日(午後11:00〜11:30)に放映されたのは「二足歩行を極める」。
「二足歩行を極めるって、人間は二本の足で歩いてるんじゃないか」と思われた方もおられるでしょうが、実は「正しく立つ」とか「正しく歩く」って、意外に難しい。
なんとなく立ってるし、なんとなく歩いてる。
学校で「正しい立ち方、歩き方」を教えてもらった記憶もないし。

「立ち方」「歩き方」を意識し始めたのは、合気道を始めてからです。
例えば合気道の立ち方は「半身」。
背筋はまっすぐに、足の親指の付け根に重心をかける独特な立ち方。
柔道の立ち方は「自然体」。
両足を肩幅と同じ幅。肩の力を抜いて足のかかとに体重をかける立ち方。

武道によって「基本の立ち方」は違うけれども、きちんと学ばないと身につかないのは同じ。
歩き方にしても、放っておくと、どんどん変な癖がついてしまう。

「最近、パソコン作業が多くて、ちょっと姿勢が悪くなってきたなあ」と感じた時に、軽いストレッチで修正するようにしています。

1.肩幅より広めに足を開いて立つ
2.体の後ろで両手を組む
3組んだ手を後ろに引っ張りつつ胸を張る
4.顔を上に向けたまま深呼吸する
5.頭の上で両手を組んで肘を曲げる
6やや肘を後方に向けて胸郭を広げて深呼吸
7.組んだ両手をそのまま頭の上に
8.背伸びをするぐらい両腕を上に伸ばして、限界まできたら両手を腕の重さに任せてストンと落とす
9.肩を上げ下げする
10.肩関節を軽く回してほぐす

気分転換になるし、姿勢もよくなります。

さて、「明鏡止水」の方に話が戻ります。
今回は「武士の足運び」、日本古来の歩き方「ナンバ術」、オリンピック種目になっている「競歩」。
忍術の「忍び足」など……「さまざまな歩き方」が登場。
これは楽しみです。

まず、武士の立ち方の実演。
二天一流をはじめ、尾張藩のさまざまな武術を継承する春風館関東支部主宰の赤羽根大介が刀を構えます。
刀を構えた時、刀の重さで上体が前に倒れないように、肚(お腹)に重心を置くのがコツ。

ここで、武術家・岡田准一の「武術講座 肚(はら)と着物の関係性」の解説。
袴の帯は背中側から腹側にかけて斜めに下がっています。袴をぐっと締めると、肚が前に出る、つまり袴が前に力がいくように作られた服……なるほど。
合気道の稽古の時、有段者から「体の中心を意識するには帯を意識するといい」とアドバイスをもらったことを思い出しました。

続いて、元陸上競技選手の為末大から、早く走るために骨盤を安定させ、身体の中心を意識するために「帯を締めて走る」トレーニングをしている話が出ました。
そうでもしないと、現代人は身体の中心を意識しにくいらしい。
そうだろうなあ。現代人は帯や袴をしていないから、身体の中心はわかりにくい。

そして「現代の美しい歩き方を極める!」コーナー。
ウォーキングインストラクター・若尾洋子による美しい歩き方の指導を、元乃木坂46の秋元真夏が体験。

現代人に多いのが、骨盤が後ろに倒れて背骨が曲がる姿勢の歩き方。
骨盤に対して胸郭が後ろに乗っていると腰痛になりやすいそうです。
胸郭を前に出すだけで、背骨が伸びて骨盤も正常な位置に戻る。
最初、不安定な歩き方をしていた秋元真夏が、「胸を出す」「頭だけまっすぐ前を向く」という簡単なアドバイスで、見違えるように歩き方が美しくなりました。

意外にディープな「歩き方」の世界。面白いなあ。

次回に続く……
posted by ゆか at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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