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2024年11月15日

巷の達人(武道系コラム・特別編) 剣道の祖

……まさか、こんなところで出会うとは。
私は舞台の上の二人の動きに目が釘付けになりました。

そこは小学校の体育館の舞台の上。
11月10日に開かれた豊中市刀根山公民分館主催の文化祭「とねやまフェスタ」での出来事です。
演目は「日本剣道形」
演武者は刀根山小学校山地輝宜校長と、大阪府立刀根山高等学校校長・無津呂弘之先生。
剣道高段者の演武で、しかも「校長対決」という珍しいもの。
恐ろしい偶然もあるものですね。

そもそも私は演武を見るために「とねやまフェスタ」にきたわけじゃなかったんです。
今年の初夏、刀根山公民分館主催の「教養講座」で、色鉛筆ワークショップを開かせていただきました。
その時の写真や作品が「とねやまフェスタ」で展示されることになったので、会場の刀根山小学校に見にきていただけでした。

色鉛筆ワークショップのブースは体育館の中。
親子連れが展示を見ていたのを遠くから確認して一安心。
模擬店にいる公民分館の人に挨拶して帰ろうと思っていたら……

「本邦初公開!校長先生のエンブがはじまりますよ!ステージ前に集まってください!」グリーンのジャンパーを着た公民分館スタッフが、体育館の出入り口で熱心に呼び込みをしています。
ここの小学校の校長先生が何か踊るらしい。
ちょっと見ていくか。

体育館のステージ前に作られた観覧席。
その後ろで見ていたら、現れたのは藍色の道着袴姿の剣士。
しまった!「演舞」じゃなくて「演武」の方か。

まず自己紹介がありました。演武者は豊中市立刀根山小学校校長・山地輝宜先生(剣道5段)と大阪府立刀根山高等学校校長・無津呂弘之先生(剣道6段)。
これは面白いことになるかも。
剣道に「型の演武」があるとはきいていたけれども、実物を見るのは初めてです。
大正時代、学校教育で剣道を指導するための統一ルールとして「型」が作られました。
北辰一刀流・神道無念流・直心影流などの古流剣術を取り入れて作られたのが「大日本帝国剣道形」。
それを引き継いだのが現在の「日本剣道形」です。
全日本剣道連盟「昭和五十六年十二月七日制定 日本剣道形解説書
に大変詳しい図解が乗っているので、武道に興味がある方にはお勧めします。

演武で使われるのは模擬刀の太刀と小太刀。
最初に披露されるのが「太刀の形七本」
剣道は猛スピードで相手に走りよったり、体当たりしたりする激しい動きが多い武道ですが、重い模擬刀を打ち合わせる「日本剣道形」の演武は、比較的ゆっくりで、しかも無駄がない。
鹿島新当當流や鞍馬流などの「組太刀」を連想させる動きです。

集まった観客は誰一人声を出さずに演武に見入っていました。
水を打ったような静けさの中で先生たちの出す気合いが響き渡ります。
剣道5段・6段といえば、それなりに技量がある方たちですが、かなり事前に練習しているらしく、絶妙な間合いで刀を打ち合わせています。

太刀の演武が終わると、続いて「小太刀の形三本」。
太刀と小太刀の組み合わせの演武。
上段から切りかかってくる仕太刀を、小さな打太刀でうまくさばいて相手の懐に入り込んで打つ。
仕太刀と打太刀の息が合ってないとうまくいかない高度な技。

とっさにスマホで写真を撮りましたが、あまりうまく映ってないですね。
きちんとしたカメラを持ってくればよかったなあ。
演武が終わると拍手が沸き起こりました。

偶然とはいえ、いいものを見せてもらえてよかったと思います。
よく考えると、剣道や柔道は学校教育に根づいているので、剣道や柔道の段位を持った先生がざらにいるんでした。
こういった「知られざる達人」も、もう少しアピールしてもいいんじゃないかという気もします。

とりあえず、来年はカメラを持参して、きちんと写真を撮りたいですね。
楽しみが1つ増えました。
私は舞台の上の二人の動きに目が釘付けになりました。
posted by ゆか at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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