今、これらの日本の繊細な言葉が失われようとしている。なぜだろうか?
一つは日本の季節の移り変わりがおかしくなりはじめていること。
例えばこの十年、私の住む地方では、年明けから三月末までが冬。短い春がきたかと思うと、五月上旬から突然夏になってしまう。集中豪雨のような梅雨の後、昼間は体温より高い気温が続き、夏は熱帯夜で蒸し暑い。夏は十月初旬まで続き、それからゆっくりと涼しくなり、十二月初旬から冬になりはじめる。……子供の頃は、もっと春と秋は長かった。
もう一つは、農業や漁業に密接に関係した言葉が多く、日本の農業や漁業が衰退するにつれて、これらの言葉が使われなくなってしまったこと。
郊外の住宅地で生まれ育った私には『麦の秋風』『栗花落(ついり)』などの農業に関係した言葉はリアリティがないのだが、このまま消えていくには惜しい言葉だと思う。
それに、最近のテレビの天気予報で「近畿地方南部は、午後から雲がとれて、晴れ間が見えるでしょう」などと、でたらめな日本語を使う気象予報士が多いこと。
『とれる』の反対語は『つく』だが、「雲がついて雨が降る」のか?
その一方、正しい日本語で解説しようと努力する気象予報士や、歳時記や季節の花を紹介するコーナーがある天気予報も増えてきているので、がんばってほしい。
言葉の数と種類が多いほど、人生も社会も豊かなものになると思うから。
『空の名前』 高橋健司 著 光琳社出版(絶版・現在は角川書店発行)
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