気象予報士に、そう言われたって、仕事を休むわけにはいきません。
駅から自転車で帰宅途中、自宅まであと20メートルのところで、その悲劇は起こりました。
傘をさして、自転車用雨合羽姿で自転車に乗っていた私。
横殴りの雨を、傘でなんとかよけながら走っていましたが……。
突然の真下からの強風。思わずよろめいた私の頭の上で「ベキッ!」という嫌な音。
一瞬上を見ると、傘の真っ黒な骨が折れて、鮮やかな紺青の生地につき刺さっている……
泣きそうな気持ちを抑え、傘を自転車カゴに乗せて、家にむかって一気に疾走。
家に入って、玄関先に傘を置きました。
骨が折れて生地にささり、穴が開いた無残な傘。
傘骨修理の店は近所にありますが、生地に穴が開いたのは致命的。
傘の生地の折り目の防水も、弱くなっていたけれど、気に入っていたカルバン・クラインの紺無地の長傘。
7年で寿命……ああ、情けない。
帰宅した夫に「傘が壊れてなあ」と言うと、「買えや。そこらへんの百均で、安うで売ってるやんか」と軽く言われました。
……それは嫌だなあ。
夫は、「昼から雨やで」と私が言っても、「今降ってないからええやんか」と、傘を持たずに出かける人。
でも、なぜか傘をさして帰ってきます。
「不経済な。雨のたびに買ってるのか!」と詰問したら、会社の同僚に、出先で安い傘を買い、そのまま会社において帰る人が何人かいて、会社のロッカーが傘だらけ。
共用の置き傘にしているとのこと。
我が家の玄関の傘立てに置き傘がたまると、夫は車で出勤する時に、傘を車に積んで、会社に返しに行きます。
「傘は天下のまわりものやで」……「金は天下のまわりもの」じゃないのかなあ。
『社団法人日本民営鉄道協会サイト』によると、鉄道の世界には、「ひと雨500本」のことわざがあるとのこと。
忘れ物を登録してリアルタイム検索できるシステムもあるのですが、なかなか取りに来る人がいない。
そこで、最近では、忘れ物傘販売業も登場。
『警視庁』サイトによると、年間43万本近くの落し物の傘がある。
一方で日本の傘の年間消費量は1億2000万本といわれている。
……やっぱり「傘は天下のまわりもの」?
ところで、傘は忘れる場合もあるのですが、盗られる時もあるのです。
紺青のカルバン・クラインの先代の傘、シルバーグレイのソニア・リキエルの傘は、雨の日に、図書館で盗まれました。
図書館の本が濡れてはいけないから……傘立てに傘を置いたことが裏目に。
「間違えて持って行ったんじゃないですか」と、職員は言うけれど。
「自分のビニール傘を、わざと、他人のブランド傘と間違えて持ち帰る」のは犯罪。
でも、「傘は天下のまわりもの」と思う人なら、罪の意識がないかもしれない。
その後、図書館でも傘袋が導入されたのですが、私は基本的に、雨の日は、図書館に行かない。
館内を、重い本と傘を抱えて、長時間うろうろするのは、しんどいからです。
傘袋のないコンビニや公共施設も、雨の日に行くのは避けたい。
スーパーには傘袋とカートがあるので、雨の日も安心して買い物できますが……
エコロジーの観点では、この傘袋も問題なんですね。
以前、雨の日に、無印良品の携帯傘袋(自前)に傘を入れて、本屋に入ったら、若い店員に、にらまれてしまいました。
無印の傘袋は、黒無地のナイロン。
遠目から見ると、傘が袋に入っているように見えないのでしょう。
「傘立てがあるのに、店内に傘を持ち込むとは何事か!」……そう言われたら、もちろん、「傘立てに入れとって、盗られた時、責任とれるんやろな!」と言い返してやりますが。
時々、鍵つきの傘立てがある施設もあるのですが、携帯傘袋と同様、まだそれほど普及していません。
一方、私と同様、「傘は天下のまわりもんやない。わしの買うた傘はわしのもんや!」と考える人も多いらしく、『日曜発明ギャラリー』サイトには「盗難防止傘」が紹介されています。
柄の部分と本体がワンタッチで着脱。
傘立てに本体のみ置き、柄だけを手元に持ちます。
柄と本体には突起物と溝があり、その位置の違いで、無限の組み合わせがあり、傘の柄は、その柄がついている傘以外にはつけられない。……なるほど。
しかし、サイトに出ている紺無地の傘……黒味がかった紺。男性的すぎるなあ……
とりあえず、深緑の夫の傘を借りて使っていますが、男性用長傘は大きいし重い。
それに、いずれ返さないといけないし。
新しい傘探しは、難儀なことになりそうです。
手の大きな私にとって、傘は、茶碗や箸と同様「通販で買ってはいけないもの」の一つ。
また、新しい傘を見つけたら、ご報告しますので、お楽しみに。
ラベル:傘