『Sankei web』(2007.9.4 21:02)によると、学習指導要領改定作業を進める中央教育審議会の体育・保健部会は、4日、中学校の体育で選択制の武道を必修化する方針を決定。
2011年度にも実施の予定。
戦後初めて、女子も必修となります。
体育・保健部会主査の浅見俊雄東大名誉教授は「必修化で一層、日本の伝統に親しんでもらいたい」と話している。
……ほんまかいな。
今の指導要領では、中学校の体育は器械運動や陸上、水泳、球技などの種目が必修。
1年生でダンスか武道かどちらかを選ぶ選択制。
多くの学校は男子が武道を、女子がダンスを選んでいました。
女子としては、男子と一緒に柔道や剣道をするには、体力的に自信がないので、ダンスを選ぶのは当然でしょう。
これからは全種目を必修に……体育科目の時間が大幅に増える?
武道とともにダンスも1〜2年で必修化する。
3年生は柔軟体操など体つくり運動と、その知識を必修とし、それ以外の種目は選択制にする。
……1年で柔軟体操と知識を履修して、2、3年で、武道とダンスをした方が、怪我人がすくなくてすむような気がしますが。
武道は、柔道と剣道、相撲の3種目が指導要領に明記されていますが、なぎなたや弓道なども地域の実情に応じて認めている。
……あっ! 合気道が入ってない!
確かに、歴史的に、柔道と剣道は教育の一環として進化(『柔〜やわら〜(前編)』参照)してきました。
相撲は国技ですし、なぎなたと弓道は国体の種目。
でも、空手や合気道や少林寺拳法、居合道、古武道各流派も、青少年教育に役立っているはずです。
実際、私の所属道場の少年部には、大勢の子供たちが通っています。
「思いやりのある礼儀正しい子供に育ってほしい」と願う親御さんたちが、にこにこしながら、稽古の様子を見守っています。
道場長代行が指導される少年部の稽古。
普通、年齢の違う40人ほどの子供たちが、一つの場所に座らされ、代行の技の説明聞くとなると、どうしても騒いだり、立ち上がったりする子供が出てきそうなものですが……。
時々、ざわざわして注意される程度。
技もまじめに稽古し、稽古の最後に、代行のアシスタントで稽古を教えていた有段者にも、大声で「先生、ありがとうございます!」と挨拶。
なかなかいい感じです。
最近、中学生になって、少年部から一般部に入ってくる子供たちが増え、一般部(大人のクラス)も、にぎやかになってきました。
今時の子供にしては、挨拶もしっかりできるよい子たちですが、中には、わんぱくな少年もいます。
ある少年と三教(関節技)の稽古をしていた時のこと。
この時、私が受け(技をかけられる側)で、彼が技をかけていたのです。
関節技を力まかせにかけると、脱臼や骨折が起きる危険性があるので、受けは、自分の膝または畳を叩いて、関節を極められたことを取り(技をかける側)に知らせ、その時点で、取りは技をやめるのがルール。
ところが、右手に三教を極められて、私が痛がって膝を叩いても、笑いながら私の手首をつかんで、ひねりあげ続け、しかも、どんどん力を込めてくる。
……まずい。このままでは、腕が折れる……
私が危険を感じた瞬間、突然意識が空白になり……気がつけば、左手で彼の細い首に喉輪をかけていました。
喉輪……相撲技の一つ。片手で相手の喉をつかむ技。
合気道には存在しない技です。
私も、まさか自己防御本能が、とっさに喉輪を使うとは思いもしませんでした。
昔、読んだ護身術の本に載っていた「喉輪」。
「こんなもん、使う機会あるんか?」と半信半疑で2、3回練習しただけなのに。
私の意志と私の体の意思(自己防御本能)は、別々に動いているので、まれに、こういうことが起きるのです。
もちろん、喉輪で彼を窒息させるのではなく、驚かせて、彼の手を放させ、技をやめさせただけなのですが……。
彼は、非常にショックを受けたようでした。
冗談で関節技をかけたら、なんだかよくわからない技で、いきなり首をつかまれて、怖い目に遭った……
彼は、その後、私のことを「師匠」と呼ぶようになりました。
彼の友達の少年たちも、みんな「師匠!」「師匠!」と私を呼ぶので、道場の有段者たちは、変な顔をしています。やれやれ。
今後、この子たちが、どんな大人になっていくのか……。
武道を学校で必修化すれば、すべての子供が、伝統に親しんだ礼儀正しい大人になるのか……
私は、かなり個人差が出るような気がしますがね。
ここはひとつ、実際に子供の頃から、町道場で武道に慣れ親しんできた人の話を聞いてみましょう。
……次回に続く……
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