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2005年08月13日

『NHKスペシャル 明治 1』

今の日本の状況は、明治維新直前に似ているそうだ。日本史の授業では、大政奉還、廃藩置県、地租改正……維新直後の出来事と年号の暗記が中心で、この激動の時代を人々がどう生きたかということについて、詳しく知らなかった。

この本は『NHKスペシャル「明治」』を書籍化したもの。全3巻の1巻目は、西欧の植民地になる危機を乗り切った日本の秘密に迫る。

その秘密とは、明治政府の「できることとできないこと、したいこととするべきこと」を区別した現実認識能力の高さ。
明治時代の変革の特徴、「古いものを生かして新しいものを築く」ことを可能にした民間教育の質の高さ。
日本の将来のために、江戸幕府の優れた人材を、あえて抜擢した明治政府の要人たちの先見性……

日本で初めて銀行を作り、民営鉄道、ガス、電力、製紙、煉瓦など、設立に関わった企業は500を超える渋沢栄一。
そして、渋沢栄一に見出された津和野藩士、大阪紡績の経営者となり、日本の産業革命の基礎を築いた山辺丈夫。
この本では、二人の事業家に焦点を当て、明治の人々の生き様を具体的に探っている。

渋沢や山辺の日本の行く末を真摯に思う姿。積極的に取り入れた西欧の優れた技術を、日本に合う形に変える努力。新しい時代を担う人々を育てる姿に、私は感動した。

現在の日本は、少子高齢化、国際競争力の低下など、明治時代と同じように、国のあり方が揺らぐ様々な問題を抱えているが、私は明治維新の時よりも不利な状態だと思う。

特に教育政策の迷走。
新しい時代を生きるための基礎学力、生き方の土台となる日本の歴史や文化への知識が、若者たちに、きちんと与えられていないからだ。

かつて、この国を繁栄させた老人世代は「自分たちの成功体験」だけでなく、自分たちが親の世代から受け継いだ知恵や知識を、若い世代に教えてほしい。

今ならまだ間に合う。


『NHKスペシャル「明治」1』 NHK『明治』プロジェクト 編著 NHK出版


posted by ゆか at 10:36| Comment(0) | TrackBack(1) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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