昨年の暮れ、鋏を探しに繁華街に出かけて、見事、目的の鋏を発見(『ハサミ計画完結編』参照)、購入して、ハサミ計画完了の喜びにひたりつつ、Loftへ立ち寄った時のこと。
文房具売り場でレポート用紙を探すことにしました。
今、使っている、エトランジェ・ディ・コスタリカの方眼罫のレポート用紙が、残り少なくなってきたので、そろそろ予備のレポート用紙を買っておこう。
次は高品質なことで有名なライフの「クリッパー・クラス」もいいかもしれないな。
レイメイ藤井の「ツァイトベクター」も悪くないし。
……そんなことを考えつつ、棚に並んだレポート用紙をながめていると……
突然、目に飛び込んできた鮮やかな黄色。
一瞬、何が起こったのかわかりませんでした。
私の目を奪った黄色の物体は、よく見ると、伊東屋のリーガルパッド。
リーガルパッドは、前から気になる文具(『リーガルパッドの謎』参照)でしたが、こんなところで実物に出会うとは。
しかし、私の想像していたものと、かなり違うな。
「リーガルパッドは黄色で目立つので、書類の山にまぎれても探しやすい」との情報もありましたが、ネット上で確認しようとしても、色目がはっきりわからない。
はたして実物は、どんな「黄色」……???
「リーガルパッドって、目を焼くような毒々しい蛍光黄色なのか? それとも、べったりとした禍々しい山吹色なのか? 世の中には恐ろしい文具があるものだ」と思っていたのですが……。
爽やかなカナリア・イエローと、紙の綴じ代に取りつけられた濃い赤。
派手な配色で、いかにもアメリカ的なデザインは、伊東屋が独自に作っているものではなく、アメリカのアムパッド社製。
私は鮮やかな黄色やオレンジが苦手ですが、この程度の黄色なら、なんとか耐えられます。
リーガルパッドは表紙がなく、むき出しの状態。
3冊セットで透明なビニールパック入り。値段は945円?
伊東屋より高い?
原油高のせいでしょうか。
それにしても、いかにも「ペンキで着色しました」といわんばかりの平板な人工的な黄色の紙。
紙質は相当薄く、ペラペラしているみたい。
「裏表が使える」という情報もありますが、本当かな?
パックされているので確認できません。
……うーむ。気になる。
実は、文具愛好家は、人によって執着する対象の文具が違います。
筆記具マニア、消しゴムコレクター、カッターナイフ好きなど……。
私の場合、10年ほど手作り製本をしていた関係で「革と紙」。
革小物と手帳やメモ、ノート類が、やたらに気になる性質なのです。
……このリーガルパッド、買って帰って、本当に裏表に字が書けるか試してみたい……
そんな考えが頭に浮かびました。
でも、黄色の紙に引かれたブルーの罫線。
目立たない色の方眼罫に慣れた私には、使いにくそうなものに思える。
それに、1冊ならともかく、3冊セットだから、残りのリーガルパッドをどうするか……ダメだ。もてあましそうだ。
結局、ライフのクリッパーだけを持ってレジへ向かいました。
……が、どうしても、あの鮮やかな黄色が頭から離れません。
……しかたがない。買うか。……
私はレポート用紙売り場へ戻りました。
3冊セットで945円は割高ですが、『伊東屋オンライン』で送料が加わると、この値段より高い。しょうがないかなあ。……
リーガルパッドの隣に、伊東屋のリーガルパッドホルダーも一緒に売っていましたが、買いませんでした。
リーガルパッドは、他社のA4レポート用紙と比べて、若干幅が広いものの、自宅のソメスのライティングパッド(『レポートパッドのある生活』参照)に、なんとか収まりそうだったので。
勢いで買って帰ったのはいいけれど。
さて、これをどう使ったものか……。
1冊あたり50シートとはいえ、3冊もあるのです。
今まで使っているレポート用紙。
白地に薄いグレーの5ミリ方眼罫は、方眼罫に合わせて表を書くこともできるし、罫線を無視して、まったく自由に殴り書きしたり、イラストを描いたりもできますが……。
リーガルパッドの黄色地にブルーの横罫線は目立ちすぎ。
しかも、左端から4センチほどのところに、縦に走る赤い3本の罫線。
たぶん、赤い罫線から左に件名、罫線から右に内容を書く、箇条書き専用のレイアウトだと思います。
アメリカ人は箇条書きマニア?
まあ、最悪、使い道に困ったら、裁断して台所の買い物メモにする手もあるけれど。
とりあえず、インクが裏映りがしないか実験。
リーガルパッドから用紙を1枚切り離そうとして、驚きました。
レポート用紙より薄く、一見ぺらぺらの紙なのに、異様に硬い。
下手に紙の端にさわれば、指が切れてしまうかもしれない。
「ミシン目があって1枚ずつ切り離せる」はずでしたが、切り離すのに意外と力が要る。
乱暴に引っ張ると「ベキベキッ!」という不吉な音がして、ようやく切り離せました。
同じ系統の文具、ロディア(『ロディアに挑戦!』参照)は、すんなり切り離せますし、「ピリリ」の小気味よい音に慣れているせいか、リーガルパッドの「ベキベキッ!」には、ドキドキしました。
普通、薄い紙は柔らかくしなやか……なのですが。
この紙ときたら、丸めようとすると、メリメリと妙な音がする。
レポート用紙というより薄いプラスチック板のよう。
とんでもない紙です。
紙の漉きムラがはっきり目立つのに、表面はツルツル。裏面は少々ザラザラしています。
家にある、油性マジック、水性マジック、ゲルインクボールペン、油性ボールペン、鉛筆、シャープペンで裏写りするかどうか、実験。
さすがに、マジックとボールペンでは、両面書くのが難しいですが、シャープペンシルや鉛筆なら大丈夫。
リーガルパッド……私が想像していたのとは別な意味で「恐ろしい文具」でした。
現在、リーガルパッドは、レポート用紙と交代で、ソメスのライティングパッドに収まって活躍中。
『ventus』の書籍化企画書の下書きに使っています。
企画書は案件を箇条書きにするのが基本なので。
ちょうどいい用途が見つかってよかった。
3冊のリーガルパッドがなくなる頃には、企画書が完成するといいのですが。
ラベル:レポート用紙