私はアレルギーなどの多くの持病を抱えて成長したため、私の意思と自己防御本能(体の意思)が別々になった。
普段はコンピュータの並列処理の形で生活しているが、非常時の体の意思は一瞬で私の意識を封じ、冷静で非常識な手段で身を守る。
自分の行動を後で他人に聞かされて驚くのは日常茶飯事。
自分の思い通りに体を動かせる人がうらやましい。
この本は、神戸女学院大学教授で合気道の達人の内田樹氏、ラグビー元日本代表の平尾剛氏の対談集。
合気道とラグビー……一見奇妙な組み合わせだが。
身体論、それぞれの経験談。
武道・ラグビーの歴史、現在のスポーツ・武道教育の問題点……論じ合った末に、「身体能力の可能性、それを自分で開発する喜びを子供達に教えたい」との結論で一致する。
身体能力開発の喜びを教える……。
昇段審査直前、自分の肘が外側に開き、木剣(木刀)の素振りができないと気づいた私は、夫に助けを求めた(『黒帯(中編)』参照)。
夫は台所で私にラップの芯を持たせ、刀の切っ先をイメージしながら、雑巾を絞るように握りしめ、ゆっくりとラップを振り下ろす宿題を出した。
「肘ではなく指先を意識しろ。肘だけなら一週間で直せる」の言葉通り、一週間後、道場で手にした木剣は妙に軽く、たやすく素振りができた。
その時のうれしさ。
お二人の言っておられるのは、こういうもののことだろう。
夫は武道13段で空手と剣道の指導員経験を持つ。
中国・少林拳の達人の祖父、柔道5段の父が武道を子供達に教える姿を見て育ったため、こんな指導ができたのかもしれない。
「身体は脳の所有物ではない」とする内田樹先生の言葉は、すんなりと私の心に入ってくる。
前著『私の身体は頭がいい』には、『本当の私はボケナスでよい』とあったので、思わず「よっしゃぁ!」と叫んでしまった。
これからも内田樹先生の活躍が楽しみだ。
『合気道とラグビーを貫くもの』 内田樹・平尾剛 著 朝日新書
ラベル:合気道
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