久しぶりに、写真家のキタハラヒロユキさんのブログ『hirolog』をのぞきに行ってきました。
この方は文房具、デジタルとアナログの両方に詳しい方。
そこで目に止まった記事は「PLUS フラットかるヒット」。
ホッチキスの話。
『これまで、いくつものステープラーを100円ショップで買い求め、使いつぶしてきた。』
……えっ! ホッチキスって、「使いつぶせる」のか?
私にとって、ホッチキスとは「いつも文具引き出しに入っていて、時々使うけれど、いつのまにか錆びていて、見苦しいから10年に1度買い換える文具」。
一家に1台、一事務所に数台あるはずの必須文具ですが、意外に、ホッチキスにこだわりを示す人は少ないようです。
mixi『文房具』コミュニティ(文具愛好家が集まる掲示板のようなもの)でも、ノートや手帳やペンの話題では盛り上がっているのですが、ホッチキスの話題は、ほとんど出てきません。
……今、私は、「コ」の字型の金属製の針を折り曲げて、紙に貫通させ、針先部分を両端から曲げて紙の束を固定する、この文具のことを「ホッチキス」と書いていますが、JIS規格では「ステープラ」。
英語の通称が「ステープラー(Stapler)」。
なぜステープラーは「ホッチキス」なのか?
アメリカのE.H.ホッチキス社のステープラーを、伊藤喜商店(現イトーキ)が輸入。
「ホチキス自動紙綴器」として明治中期から販売したために「ホッチキス」が通称になりました。
『ウィキペディア』(2008.1.31.12:42)参照。
キタハラさんは、ステープラーの「針の厚み」が気になって、厚みをできるだけなくそうとして、留めた後に、ステープラーの針足の山部分を、リムーバーでつぶしているそうで……。
ホッチキスの針足の山。
あまり意識したことがなかったですね。
私の職場では、紙をまとめるのにファイルの方が多用されていますし、綴じて長期保存する書類は、パンチで穴をあけて紐で通すことが多いので、ホッチキスは必要だけれど、「使いつぶす」ほどには使っていません。
自宅の場合、書類の整理はクリアファイルに頼りっぱなし。
ホッチキスの出番は、週1度ぐらいでしょうか。
資料の差し替えが多いので、一度ホッチキスで書類を綴じてしまうと、針をはずすのが面倒なのです。
かるヒットは、100本の針が一度に装填できて、綴じた針が平らになる「フラットクリンチ」タイプ。
これまでの50%の力で紙を綴じられる優れもの……。
うーむ。気になる。
持病の「気になる病」がむくむくと、頭をもたげてきました。
ちょうど、リビングのホッチキスが錆びて寿命だったので、フラットかるヒット「ホワイト」を買ってみました。
白と黒のツートンカラーで、ころんとしたかわいいホッチキス。
2006年グッドデザイン賞受賞商品です。
面白いから、うちのもう1つのグッドデザイン賞受賞(2003年)ホッチキス、コクヨ「WILL」(『電卓マニアたち?』参照)とくらべてみましょう。
WILLは、手に当たる部分のラバーの黒、シルバーメタルの組み合わせが美しい。
立てた状態で机に置けるスタンドタイプ。
持ち運んでも、鞄の中に一緒に入っているものを、引っかけて傷つけることのないように、閉じて固定できるストッパー機能がついています。
さて、かるヒットのサイズは30×81×60ミリ(幅×長さ×厚さ)。
WILLのサイズが26×108×40ミリですから、かるヒットの方が長さは短くても厚みはあります。
両方を持ってみましたが、なぜか、かるヒットの方が、WILLより重い。
WILLよりも、多くのバネが使われているためのようです。
紙を20枚用意して、両方のホッチキスを使って、紙を綴じてみましょう。
WILLの「ガシャ!」。
かるヒットの「ぱきっ!」。
なるほど、確かにWILLほど力がいらない。
といっても、WILLは普通のホッチキスほど綴じる力がいらないのですが。
問題のホッチキスの針。
WILLは、紙の裏の針部分がすこし山になって、紙の表面から浮き上がっています。
この状態の書類を積み重ねると、針で綴じた部分だけが厚くなって、アンバランスになります。
かるヒットは、針が完全に紙と密着していますから、綴じた部分だけが厚くなって、書類を積み上げると崩れる……ということはなさそうです。
ただ、かるヒットは、アイルランド人の血を引いていて、手の大きな私には、すこし小さい。
本体が軽く手にフィットする点では、WILLの方が手になじみます。
でも、平均的な日本人の手の大きさなら、かるヒットはぴったり合うかもしれません。
ところで、『IT media Biz.ID』の『カマタ式「極楽文具」コラム』(2007.2.13.12:00更新)にも「かるヒット」が取り上げられています。
『しかも、このホッチキスのリムーバーには直径3ミリの穴があいている。必要ならヒモで吊せるようにとの設計だそうだ。実際、吊して使いたい場所(職場)もあるだろう。まさに、かゆいところに手が届くデザインなのだ。』
……ホッチキスを紐で吊るす?
何のために??
どんな仕事なんだろう???
このコラムを書かれたカマタスエコさん。
その人のことを調べてみると……。
料理研究家でフォトエッセイスト。
昨年春、くも膜下出血にて死亡。
ほのぼのとした文章と写真でつづられた『電脳カマタ食堂』サイトには、今も、彼女を偲んで、書き込みを続ける人々がいました。
写真で見る限りでは、私と年齢が変わらない方のようです。
色々な夢もあったでしょう。
ご主人とお子さんを残して、この若さで亡くなられて、さぞ無念だったでしょう。
この場をお借りして、カマタスエコさんのご冥福を心よりお祈りいたします。
結局「ホッチキスを吊るす職場の正体」は永遠の謎になってしまいましたが……。
ホッチキス本体よりも、ホッチキスのヘビーユーザーの仕事ぶりの方が、妙に気になってしまう。
不思議な文具ですね。
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2008年02月05日
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最初からフラットになるホッチキスは便利ですね。
私はラジオペンチで潰しています。
その作業は、なんとなく楽しいのが不思議です。
我が家にはMAX社製の似たホチキスがあります。「FLAT CLINCH」という製品で、昭和期のものです。現在の後継機はたぶん下記だと思います。
http://wis.max-ltd.co.jp/op/product_catalog.html?product_code=HD90016
後部にあるボタンのようなレバーをスライドさせると、針を入れる部分が飛び出してきます(説明がヘタですみません)。針を入れて押し込む感覚は「装填」に近く、ちょっとしたガンマン気分が味わえます。フツーより多い枚数を綴じられますが、力はけっこう必要なような……壊れかけているのでしょうか。あるいは品名に「POWER」がないところを見ると、「軽とじ機構」(なんという名称だ)はないのかもしれません。