著者は確立変分学を開拓し、量子力学の研究で世界的に知られる理論物理学者。
しかも、合気道と同じく大東流合気柔術から分かれた武道、大東流合気武術の門人で「武道の謎の科学的解明に挑む」……。
夫婦喧嘩の時、大東流合気柔術二段の夫に、玄関先で「ひょい」と投げられた(『合気道へ』(前編)参照)経験のある私には、非常に気になる本だ。
柔道の三船久蔵十段の達人技「空気投げ」を、力学の「作用反作用の法則」と筋肉の不随意運動の仕組みで解説。
空手の極意「パンチやキックに体重を乗せる」を「慣性の法則」と喝破。
グレーシー柔術の「胴タックル」と「マウント返し」を「回転の法則」で説明。
そして、最大の謎「合気」。
著者は空手家や師の木村達雄師範や大学院生の協力を得て、実験を開始。分解写真や筋電図といったデータを駆使して、相手の体を無力化したり、離れたところから相手にダメージを与える「合気」の謎に迫る。
この宇宙で存在する「力」は「重力」と電気や磁気による「電磁力」しかない。
「合気」は、人体が発する「電磁力」や、空間の「電磁場」を利用するものではないかという仮説に、著者は行き着く。
ところで、私は以前、夫とテーブルをはさんで差し向かいで座っていた時、いきなり夫の「気の遠当て」を食らったことがある(『心眼』(前編)参照)。
私は間髪を入れずに右に跳んでよけた。
見えないソフトボール大の「殺気の塊」が、猛スピードで私の左手をかすめて通り過ぎ、左手の甲にぴりぴりする感触が残った。
もちろん、夫は私がよけられると知った上で試したのだが……。
この時、自分が何を察して右に跳んだのか、記憶がとぎれているのでわからない。
「なんだか知らんけど、よけられたからいいや」で、強引に納得しているが、物理学者の著者には、ぜひとも「気」の正体を解明してほしい。期待している。
『武道VS.物理学』 保江邦夫 著 講談社+α新書
ラベル:武道
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