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2005年11月08日

隙あり!(前編) 返し技の条件

「君は隙だらけだぞ。わはははは」大抵の武道には「返し技」というものがあります。
相手がかけてきた技を利用して、逆に相手に技をかけることで、柔道のTV中継ではよく見られるもの。
私はよく返し技をかけられるし、たまに初心者相手に返し技をかけることがあります。

最初に返し技をかけられたのは、合気道をはじめて1年。昇給審査で5級に合格した頃。
相手は初対面の年配の有段者で、技は「正面突き入身投げ(相手が拳で突いてくるのを、横によけて相手の後ろに入り投げる技)」。

有段者(受け)が右の拳で突いてきたのを、私(捕り)が右に動いてよけ、私が有段者の右側面に入った……まではよかったのですが。
有段者の右肘が飛んできて、とっさに平拳で払いのける私。
次の瞬間、私の背後に回り込んだ有段者は、私の右手をつかんで前方に放り投げる。
「しまったぁ!」
前方に転がるように受身を取って、私は怪我をせず、なんとか立ち上がりました。
「今の技、よく受身取れたな。はははは」
技をかけた有段者は大笑いするけれど、もし受身を取れなかったら大怪我。

実際に怪我をすることも多く、返し技を禁止する道場もあると聞いたことがあります。
合気道の稽古は捕り(技をかける人)が、きちんと技のかけ方を覚えられるように、受け(技をかけられる人)が協力するのが基本。
だから、技をかけられる側が、逆に技をかけて投げ飛ばすのは、明らかなルール違反。
合気道を「スポーツ」とすると返し技禁止となりますが、合気道が「武道」だと「隙がある方が悪い」ので返し技をかけてもよいことになり、この解釈が難しい。

私の通う道場では、一応「返し技は好ましくない」とはされているのですが、男の有段者は「教育的指導」として、たまに返し技をかけることがあります。
でも、返し技は誰にでもかけてよいものでもなくて、かけてもいい人は「ある程度受身の型を覚えて、予期せぬ動きにも対応できる鋭い反射神経があって、返し技をかけられたことを根に持たぬ人」という条件があります。

普通、返し技で狙われるのは3級以上からで、どちらかと言えば、女性はかけられることが少ないようなのですが……
私の場合は、返し技をかけるとリアクションが面白いらしく、よく有段者に狙われます。

例えば、スポーツ教室で初心者と組み手をしている最中、師範が後ろからやってきて、「姿勢が悪いとこういう目にあうんだよ」と、いきなり合気落とし(後ろから相手の両肩をつかんで真下に落として崩す技)をかけました。
「しまったっ! こういう目にあってしまった!」と叫びながら受身を取っていると、師範は大笑いしながら去っていきました。
私に隙があるから仕方ないですね。

ところで私は、最近、後ろ受身が取れる程度に上達した初心者を教える時、指導方法として、返し技の応用を使うことがあります。

初心者が技をかけている時に、その手を引っ張って体勢を崩すだけでも、初心者は驚きます。
「腰がひけているからです。手だけで相手を投げようとしましたね。もっと体全体を相手に近づけて技をかけましょう。では、もう一度。私はさっきと同じように手を引っ張りますよ」
そう説明して、説明通りに初心者が技をかけると、私が手を引っ張っても、初心者の体が安定していて体勢が崩れない。
「よくできましたね」
そうほめると、初心者はうれしそうです。

このやり方は「わかりやすい」と初心者には好評なのですが、年配の有段者は「口で稽古し過ぎる。技は見て盗むもんだ」と言うので、少し困っています。

先日、夫(武道13段)に、「最近、よく返し技をかけられるんだわ」と言ったら、「それで、お前は投げられっ放しなんか。茶帯(上級者)のくせに、切り返し(相手の返し技に対して、さらに返し技をかけること)もできんとは。ちょっとそこへ座れ!」
リビングに正座させられて、「ちゃんと身入れて稽古してるんか!」と15分ほど説教されました。
返し技は奥深いものらしい。

いずれは「隙あり!」と返し技をかけられても、うまく切り返せるような上手な有段者になりたいものです。


……次回へ続く……





posted by ゆか at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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