白衣や作業着を着て、世のため人のために働いているイメージがあるが……。
理系の博士号を持ちながら就職に苦労する「ポスドク」。
待遇のいい金融やマスコミなどの「文系業界」に飛び込む理系学生。
自分の本当の適性に気づいて、文系職業から研究室に戻る理系学生……。
若者のエネルギーと時間がムダに使われている。
毎日新聞の科学や環境の記事を扱う部局が「文系と理系の壁」に迫ったのが、この本。
高校時代に迫られる進路選択「理系か文系か」。
1970年代にはじまる大学入試対策、受験校の試験科目を重点的に勉強する文理分け教育だ。
私自身は、もっとも嫌われる文系科目「古文漢文」を専攻したことを後悔していない。
古文や漢文を品詞分解……言葉を最小の部品に分解して解析。歴史的資料を元に再構築し、作者の思いを推測……。
ある意味、化学実験に似た作業。
これで身につけた多彩な表現力、論理的に日本語を解釈する能力は、人生の色々な場面でツブシが効く。
日本で使われる言葉のほとんどが、日本語だからだ。
しかし、最近のテレビの科学番組を見て、「学生の頃、数式の暗記ばかりさせられたから、数学と物理が嫌いになったのかも。あの時、こういう面白いアプローチがあったら、物理や数学が好きになれたのに」と後悔する時が多い。
理系の人が文系の世界で活躍するのも大変だが、逆に、文系人間が理系の世界を理解するのは、もっと難しいのだ。
ゆとり教育の導入で授業時間が減り、地方行政改革の歳出削減で、学校の理科用機材も整わない。
環境、医学などの理系・文系の人間が共同で取り組むべき問題も増えてきているのに、理科嫌いの子供が増え、将来の日本の技術開発力低下が懸念されている。
その中で、目的を持って科学を学ぶ高等専門学校(高専)が、科学技術に長けた若い人材育成の場として注目されはじめた。
これが突破口になるか。
『「理系」という生き方』 毎日新聞科学環境部 編 講談社文庫
ラベル:理系
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