著者は株式会社イオス代表取締役。
モバイル用ゲームサイト、動画サイト、ショッピングモールなどを運営する企業のCEO。
若い世代を中心にヒットしている、ケータイ配信用に作られた「ケータイ小説」を例にとり、この世代の心理や行動傾向を探ろうと試みたマーケティングの本だ。
女子中高生を中心にブームを巻き起こしたケータイ小説は、続々と書籍化、映画化され、2007年には文芸部門のベストセラーの上位を独占。
今もブームが続いている。
「タイトルや著者にとらわれない」「友達の勧めで読む」「恋愛物が人気」「短時間でちょこっと読む」「無料が前提」「主人公が自分に近い設定で、ストーリーより、主人公の感覚や行動に共感」……。
ケータイ小説愛読者の行動を分析すると、キーワードは「共感」。
これは、大人世代がイメージする、ふんわりした暖かい「共感」に、情緒的な湿っぽさを加えたものらしい。
ところで、私はmixiのコミュニティ(掲示板)に参加している。
大抵のコミュニティには自己紹介コーナーがあり、「はじめまして」「よろしくお願いします」の挨拶がずらりと並ぶ。
最近、その中に、初対面にしては異様に気軽な挨拶。
「文字化けか?」と疑うほど絵文字の多い、奇妙な書き込みが増えてきたので、不思議に思っていた。
mixiはパソコンだけでなく、携帯電話からも閲覧書き込みができる。
どうやら、書き込みの主は、携帯だけでネットを見る若い世代らしい。
不思議だなあ……とは思っていたのだが。
携帯メールの発達とともに成長した、情緒的で「自分と他人」の垣根が低く、単語の一つ一つに思い入れの強い、大人世代とは異質な感覚をもった世代の登場……。
著者の主張通り、彼らに対して、今までとは違う「商売の仕方」というのは必要だろうが。
そんな大人世代の姿は、彼ら……ケータイ世代の目にどう映っているのだろうか。
それが気になる。
『ケータイ小説がウケる理由』 吉田悟美一 著 マイコミ新書
ラベル:ケータイ
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