国民皆保険制度がなく、医療費は高額。
人々は民間医療保険に入るが、営利目的の保険会社は保険金の支払いを渋る。
一度、病気をすれば借金、そして自己破産……アメリカの医療事情は私を戦慄させた。
私は喘息薬がなければ生活できない中等症持続型喘息患者。
使い方によっては死を招く喘息薬は、医師の処方箋なしでは買えない。
そのため、健康保険料の支払いと薬の入手は何よりも重要だ。
著者は、ニューヨークと東京を拠点に活動するジャーナリスト。
「今、アメリカで起こっていること」を暴いたのが、この本。
国は「自己責任」の名目で、国民の自己負担率を拡大して保険外診療を増やす。
国民が加入する民間保険会社市場は拡大、保険外診療範囲が拡大すれば製薬・医療機器会社も儲かり、経済が活性化……企業と国には都合がいいが。
医師・看護師不足の医療現場で多発する医療過誤。
病院が採算をとるためにサービスを削り、完治していないのに退院させられる患者。
質の低い公的高齢者医療保険制度「メディケア」。
請求できる医療費額が制限されているため、病院から診療を断られる低所得者用公的医療保険制度「メディケイド」受給者。
増え続ける破産者。
なにかと理由をつけて医療費、教育費、生活費の助成を削減する国。
貸し倒れのリスクが高い低所得者に高利で貸し付ける住宅資金「サブプライムローン」。
「学資ローンの免除」で若者を戦地に誘う軍隊。
……今のアメリカでは、経済的弱者は企業の「食いもの」で、人権はないらしい。
日本でも、今年導入された後期高齢者医療保険制度。
75歳以上に適用される診療内容に関わらず定額医療費を徴収する制度。
増税の予測……国民の負担は増えるばかりだ。
しかし、アメリカでは「命を金に換算する」行き過ぎた自由主義を是正する動きが出ている。
日本でも、同じ動きが起きつつあること、それが唯一の希望なのかもしれない。
『ルポ・貧困大国アメリカ』 堤未果 著 岩波新書
ラベル:健康保険
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