「ダメじゃないですか! 十三型、だいぶ忘れてますね」
英信流の居合道を習っている上級者の若者(この春初段に昇段。『隙あり!』後編、『抜刀術』後編に登場)に、叱られました。
後稽古で久しぶりに、杖(「じょう」と読みます)の型、十三型をおさらいしていた時のことです。
「まだまだ修行が足りませんね」
「すみません」
家で練習したつもりだったのですが、一人稽古では、技が曖昧になってしまうみたい。
合気道には、武器を持った相手を素手で取り押さえて、武器を取りあげる技があります。
2段3段の昇段審査に出題されるのは、この「武器取り技」。
有段者が、鮮やかな身のこなしで、受けの杖や木剣をさばいて取り押さえるのには、思わず溜息が出ます。
「私たちも、有段者みたいに、ちゃんと杖を使いこなせたらいいよなあ」と、よく茶帯(上級者)同士で話し合ったりしています。
合気道は取り(技をかける側)と受け(かけられる側)が交代で技をかけます。
つまり武器を持った者を制圧する技術と、武器を使う技術は一対。
覚えるのはなかなか大変。
杖は、長さ128センチ、直径2.8センチ、まっすぐな棒状の木製の武器。
『突けば槍、払えば薙刀、持たば太刀』……杖の先端、円筒形の角の部分が当たれば、人の肌などはスパッと切れてしまうのだそうです。
今放映中の時代劇『水戸黄門36部』の殺陣のシーンでは、水戸光圀(里見浩太朗)が、持っている杖で悪い侍を打ちすえたり、渥美格之進(合田雅吏)が、長い棒(杖と同サイズ)を振り回して、刀を持った侍と戦ったりしています。
殺陣の杖と武道の杖は、厳密には少し違いますが、杖が実戦で使われるイメージは、あんな感じでしょう。
さて、合気道の杖の型は「13の杖」と「31の杖」が主流。
13の杖、十三型は、まれに道場で稽古をする日があるのですが、なかなかタイミングよく杖の稽古に出会えない。
有段者にお願いして、後稽古で杖を教えてもらおうとすると、たまに「茶帯で杖は、まだ早い。段取ってからだ」と言われることがあります。
茶帯……1、2級の上級者。
初心者が10人いれば、この段階で半分以上が脱落。
残った茶帯は、段を取ることを目標に稽古に励んでいますが、茶帯と黒帯(有段者)の間には、「飛び受身の壁」が立ちはだかる。
(飛び受身の詳細は『投げと受身』前編にて)
飛び受身ができなければ有段者になれない……
しかし、この飛び受身に失敗して、鎖骨や肩の骨を折り、合気道をやめた茶帯が何人もいるそうです。
「杖は有段者から」と言われると、有段者をめざす茶帯としては、逆に、ますます気になってしまう。
だから、茶帯の人間が集まると杖の話が出ることが多い。
「やっぱり、杖は有段者からじゃないと無理?」
夫(武道13段)に訊いてみました。
「段取ってるとか、そういう問題やなくて、足さばきや重心の安定が、きちんとできてるかの問題やないか? 長い杖持って振り回した時の方が、素手の時より、体勢が不安定になるやろ。基礎ができんうちに、杖やると、変な癖つくかもしれんからやないか」
「そういうもんなのかな」
「基本ができて、それで杖をうまく使えると、さらに重心も安定するし、足さばきもよくなる。ますます技にキレが出て、うまくなるわけや」
「なるほど」
私の場合、十三型を習うだけで6人もの有段者を悩ませている(『杖』前編参照)のですから、三十一型となると……
家で本やビデオを見ながらやらないと、どうしようもない。
「何か、杖についての資料、本やビデオはないものでしょうか?」
柔道整復師で、鹿島神流(剣術)の使い手でもある茶帯の若者(『双輪』前編に登場)に尋ねたら、こんな答えが返ってきました。
「ないこともないですよ」
……次回へ続く……
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2006年11月07日
この記事へのコメント
初めまして★ちょくちょく楽しませてもらってます♪私も最近ブログ始めました!!『どこよ』ってところなんですけど、気の合いそうな友達を探しているので、よかったら遊びにきてくださいね★
Posted by ai at 2006年11月08日 11:41
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