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2026年02月20日

『関税の世界史』

2025年は「トランプ関税」に日本が翻弄された年だった。
関税は輸入国の政府が国境で課す税金で、「国内産業の保護」、「国庫収入の確保」、「貿易秩序の維持」を目的として設定される。
ところがトランプ大統領は「アメリカ国内産業の保護」を名目に、世界各国に「関税を大幅に引き上げる」と脅し、アメリカの産業への投資を迫った。

日本政府がアメリカに多額の投資を約束したことで、今のところ日米関税戦争はおさまっているが油断はできない。
たしか幕末に日本はアメリカと不平等な「日米修好通商条約」を結ぶはめになって、それを廃止できるようになるまで長い間苦労していたし、1980年代にも苛烈な貿易戦争をやっていたはずだから。

この本の著者は元国税調査官で、世界史を通して経済を俯瞰的に見ることで知られている人だ。

関税制度は古代エジプト時代にははじまっていた。ほかの国から物が届いた時に税金をかけるのは、国民の収入を把握して課税する所得税よりも取り立てるのが簡単だったからだ。
古代ギリシア・ローマの高度な文化を支えていたのも関税だった。

時代は下り、中近東で栄えたオスマン・トルコが、アジアからもたらされる香辛料に莫大な関税をかけ、胡椒1gは銀1gで取引されるようになった。
香辛料への高関税に悩まされたスペインやポルトガルは、オスマン・トルコを経由せずにアジアと交易するため、さまざまな方面に船を出して新しい航路を探した。
そしてアメリカ大陸を発見。
開拓がはじまった。
スペインやポルトガルが「関税を払いたくない」一心で船を出したことで大航海時代がはじまって、その結果、関税大国アメリカができたところが面白い。

トランプ関税をきっかけに米中貿易摩擦が激化して、その影響で中国からのハイテク製品や原材料に輸出規制がかかり、日本の工業も危機に立たされている。
しかし、日本の産業は、明治維新後、さまざまな関税の障壁を乗り越えて発展してきた。
その潜在能力に期待したい。


ラベル: 経済
posted by ゆか at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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